出会いの“キセキ”


カズキさんは「ありがとな」と微笑んだ。


それから、
私は治療室でギブスをはめられた。

幸い、ケガをしたのは左手だけ。

これならバスケの練習も少しならできる。


私とカズキさんは病院を出ると
手を繋いで歩き始めた。


「ミアビ今日は部休?」

「はいっ」

女子バスケ部は、2年生が中心となっても
地区優勝は確実だった。
だから、夏休み中は部休。

大会は9月だし…

けど、余裕をこいでいたわけではない。
2年生は市や県のトップ高を狙う人がほとんどだった。
そのため、夏休み中は“勉強”となった。

練習したい人は、体育館に打ちに来ても
OKということだった。



「てかさ…今日、補修だったの?」

「………はい…」

「ミアビ頭良かったのにな…
どれくらい落ちたの?」

「100位以上落ちましたよ……」

「………」

「授業ちゃんと受けなかったせいで
補修にもついていけないんですよ~」

私は作り笑いをした。


「俺のせい…だな……」

「…?」

「ごめんな。」

「違いますよ………?」

「そこもちゃんと責任とるよ。
明日から毎日午後は勉強ね」

「えっ…えぇ!??」

「ま~単に俺がミアビに毎日会いたい
ってだけだけどね(笑)」

私……

カズキさんに迷惑かけすぎだなぁ…。