出会いの“キセキ”


自分の教室に帰ってからも
涙は止まらず、保健室へ行った。

「何があったのか教えて。」

保健室の中野先生に聞かれた。

中野先生は学校の生徒みんなの
相談相手。

とても良い先生だった。

私も一度、ソウマの事で泣いて保健室へ
行った時、なぐさめてもらった。

そして私は、全てを話した。

「カズキが…?…」

とても驚いていた。

カズキさんの事は女子からの相談の中で
かなり多かったらしい。

それくらい、モテてて
女ったらしだったみたい。

「カズキが惚れた人…ミアビだったのね…」

「え…?」

「カズキね…ずっと前にここに来たの
“初めて好きな人ができた。
けど、その子は年下だし
接点は何もなくて…辛い”
ってね。」

「……」

「あの子はね、一つのことを
ずっと一途に真剣にできる子じゃないの…
悪い子じゃないのよ…?
けど…怖かったんじゃないかな?
いつかミアビを守れなくなるんじゃ
ないかって」


「カズキさん……」


「けど、カズキがここまで人を好きに
なったのは、初めてよ?
少しの間だったかも知れないけど…
誇りに思って、そして忘れるのが、
一番だと思う。」

けど…私は嫌だった。

カズキさんは私と別れれば
また、他の誰かを好きになって
付き合って…

考えただけでも涙が出てきた。

カズキさんと手を繋ぐのも
カズキさんから抱かれるのも
カズキさんとキスをするのも…

私だけが良い…

ワガママなのかな…?