となりの紀田くん




「ごめん…凄い今更だけど…俺、自分が最低な奴だって気づいたんだ…」




私の質問に対しての
返答をするわけでもなく



私をブランコから
立たせて両肩を掴む




瑠威が最低だって…?
一体、何の話?



「俺、記憶をなくす前のゆあに振られてるんだ…。紀田のことが好きだからって…」



瑠威の口から出た言葉は
あまりにも衝撃的すぎて



「ふぇ?」



間抜けな声が出るーーー。



「俺はゆあが記憶を無くしたのをいいことに、無理やり漬け込んだ最低な男なんだ…。ゆあの記憶が戻らないよう紀田から避けるようにも仕向けた…」




何それ……
そんな事言われても
私には分からないよ…



「ゆあ…よく聞いて…。無理にとは言わない…でも記憶は思い出すべきだ。記憶から消えてるだけで、ゆあが本当に好きなのは紀田なんだよ。」



言ってる意味わかる?
なんて真剣な顔で
私の顔を覗き込まれても




何一つ理解出来ない。



記憶がなくなる前の私は
紀田が好きで付き合っていて
瑠威を振っていて…



でも今の私は間違いなく
瑠威が好きなわけで…



やばい…頭の中が
ぐちゃぐちゃだ…



私はどうしたらいいの?



そう思った瞬間
視界がグラッと揺れる



私はそのまま意識を
無くしたーーーーーーー。