となりの紀田くん




なんてタイミングが
悪いんだろう…………






相変わらず私を
不機嫌そうに睨み付ける紀田






私は目を合わさず
気づかないフリ
瑠威はそんな私たちを
後ろから見ていて





「おい」






あー、もう!
何で話しかけるかな…………





「な、何?」





「お前、俺のこと避けてんだろ?」






おいおい紀田。
それは直球すぎやしないか?







「べ、別に避けてなんか………」






「避けてんじゃねーか!!!」

「はい、それでは二年生による全員リレーが行われます。二年生入場してください」






紀田の発言とほぼ同時に
体育祭実行アナウンスが流れる






「彼氏なのに、理由もわからず避けられたら傷つくだろーが。バカ猿」







紀田は悲しげな顔で
そう言って






グラウンドに向かって行った。







私バカだ。





すでに傷つけてるじゃん………







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バトンが次から次へと
渡っていくなか





ついに私の番が訪れた。






運動神経はわりと
良い方だし
走るのは得意なんだけど






今日は足が重いな






やる気はあるのに
思うように動かない。






さっきの紀田の顔を
思い出したら





胸が苦しくて泣きそうになる。





「おい!しっかり走れゆあ!お前早いだろ!!」






グラウンドの中央部分から
誰かが私に叫んでる






誰かなんて見なくたって
声でわかった。






他クラスなのに
私を応援するなんて
バカじゃないの。





私の勝手な判断で
紀田を傷つけたのに





優しすぎるんだよバカ





でも、ありがとう。
私ちゃんと紀田に話す。





瑠威のこと………………