「お兄ちゃん、それ何かのまちがいだよ………」
「でも、この耳で聞いたんだ!引っ越す前に裕也の両親が話してるのを!」
「聞き間違いじゃないの?」
「俺も最初はそう思ったよ。でも調べれば調べるほど不可解な点が出てきて………だから確認しに行こう?」
「何処に?」
「裕也ん家」
そうしてやって来た紀田家
「ごめんねー、久々に遊びに来てくれたのに………ゆうちゃんいなくて」
「いえ、大丈夫です」
そっか…………
裕也いないのか……
「今日は、ミチルさんと由美子さんにお話があってきました。」
兄が真剣な面持ちで
裕也の母
紀田 由美子さんを
見つめるーーーーーー
「あら、そうだったの?立ち話もなんだから中へどうぞ」
招かれて一室の
ソファーに腰を降ろす
私と兄
ミチルさんと由美子さん
紀田ミチルは
裕也のお父さん
本当はもっと長い名前
養子として
結婚をしたから
名字は母方のモノ
テーブルに置かれた
お茶を遠い目で
見つめながら
兄は口を開いたーーー
「うちの両親の事故について知りたくて話を伺いに参りました。」
「不運な事故だったわねー。あんな見通しのきく大通りで事故なんて」
ちょっと待っておかしい。
「本当だよなー。夫婦でお出掛けの途中だったんだろ?」
なんであなたたちが
そんな細かな事まで
知っているの??
ニュースでは
一切公開されていないのに
知っているって事は
関係があるから?
「率直に聞きます……」
兄も同じ事を思ったのか
私の手を強く握るーーー
「うちの両親を事故に見せかけて殺したって本当ですか?」
兄の言葉で
その場の空気が
一気に凍りついたーーー

