となりの紀田くん




叫んだのは私じゃない
要さんだーーーーーー






「ごめんなさい!ごめんなさい!私のせいで…………!!」






何が起きたの?





訳がわからず
立ち尽くす私





回りには人が集まってきて






「そこのあなた、救急車呼んで下さい!」






「はい!」





そんな会話が
頭の中をぐるぐるする






そして我に返って初めて
紀田が要さんを庇って
轢かれたんだと理解した………






やって来た救急車






運ばれる紀田





泣きわめく要さん





「紀田!!」





叫んだ時には既に
救急車は走り出していて






私は全速力で
走り出したーーー






嘘だ………嘘だ…………嘘だ!!






お願い!!
紀田を助けて!!!





そんな願いを胸に秘め
必死に走って
たどり着いた病院





「すみません!!ここに紀田 裕也って人が運ばれてきませんでしたか!?」





「ご家族様ですか?」




「いえ、彼女です!」





「そうですか、とりあえず今…集中治療室で手術を行ってますので、扉の前でお待ちいただけますか?」





そのまま看護師さんに
案内され、扉の前に立ち尽くす。






集中治療室で手術?





嘘でしょ…………
いや、まさかそんなっ





信じたくても
不安は募るばかりで…………





「ゆあちゃんっ!!」






そんなとき私の名前が
呼ばれたーーーーーー





「要さん………」





「ごめんなさい!私のせいで………私のせいで裕也が!!」





バシンッ!!!




私は思いきり
要さんの頬を
ひっぱたいた。