となりの紀田くん




「ゆあ、大丈夫!?」






鈴が慌てて私のもとへ
駆け寄ってくる





「大丈夫………」






紀田に視線を向け
ながら鈴に答える






鈴も紀田を見てから
私に向き直り
優しく微笑んだーーーーー






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「今日は楽しかったね~♪」






鈴が嬉しそうに笑う





嬉しいのは
私の方なのにな。
ちゃっかりプレゼント
まで貰っちゃって。





「みんな、今日はありがとう!」






「「どういたしまして」」






みんなで紀田家を出て
悠斗と平山さんは
同じ方向へ帰って言った。






「ごめん、鈴。梓くんと先に帰ってて」






「分かった………梓くん行こう」






「え?でも………」






「いいから!行くよ!」






鈴が梓くんを無理矢理
引っ張りながら
笑顔で私に手を振る。






やっぱり鈴には
何でもお見通しなんだね………





私、ちゃんと言うよ。
これ以上…………羽麻くんを
振り回しちゃいけない






「何で一緒に帰らなかったんだ?」






羽麻くんが不思議そうに
私の顔を覗き込む。






私は彼の顔を真剣に見据え






「羽麻くんに話があるの………」






そう言ったーーーーーーー




ーーーーーーーーー






二人で公園を探すべく
歩き出す






地元じゃないから
どこにあるか
分からなかったけど
案外、すぐに見つかった。






「で、話って何?」






ただ事ではないと察したのか
さっきとはうって変わった
真剣な眼差しで私に
問いかけてくる……






「羽麻くんには、返しきれない程の恩を感じてるし、今もこれからもずっと好きだよ」






「俺も、好きだ。内倉が………。初めて会った時からずっと………」







「ありがとう。でも、ごめん………羽麻くんの言う好きと私の好きは全然意味が違うの。」





初めて会った時から
って言葉にちょっと
引っ掛かったけれど





今は自分の本当の気持ちと
覚悟を伝える方が先決だ。





「知ってる」





悲しそうな顔をして
フッと鼻で笑う彼に
胸が酷く痛む。





ごめん、羽麻くん………