「なんだ、あずさくんか!紀田かと思ったよ」
「紀田?」
「あー、知らないか。私の隣の席なんだけどね……めちゃくちゃ性格悪いの!」
「誰の………性格が悪いって?」
明らかに梓くんのではない
声が聞こえてくる。
梓くんからちょっと
視線をずらせば
電柱ばしらに寄りかかって
両腕を組んでいる紀田がいた。
お、おまww
なんでいんだよ!!
「誰って………あんたに決まってんでしょ!!勘違い妄想性悪変態男め!!追いかけてくんな、ばかっ!」
「何しゃべってんのかわかんないんだけど…。日本語で話さなきゃ通じないよ?」
は?…………
日本語しゃべってんだろーが!!
「だから、追いかけてくんな!」
「じゃあ逃げんな」
通じてんじゃん!!
「やだ!」
「ふーん。じゃあ無理矢理連れてく」
紀田が表情一つ変えずに
私にジリジリと近づいてくる
そして私のもう片方の腕を
引っ張って自分のもとへと
引き寄せる………
梓くんの手は私の腕を
しっかりと掴んでいなかった
らしく………いとも簡単に
すり抜けてしまう………。
「ちょ!?紀田!?」

