私が思いきり
目を瞑った瞬間
「………ちっ」
舌打ちとともに
紀田がやって来て
私を抱き上げる
た、助かったぁあああ…
「紀田!?」
悠斗が焦りの表情で
紀田をまじまじと見つめる
「こいつもらってくわ…何か用があんなら俺に言え……」
「ま、待てよ。お前も全部聞いてたのか?」
「さあ?……じゃあな」
それだけ言って
不適に笑うと
私を抱き上げたまま
屋上を出ていったーーーーー
ーーーーーーーーーー
暫く放心状態の私。
しかし状況を把握していくなか
気づいてしまったーーーーー
今の体制に………
わ、私…お姫様だっこされてる!?
「お…降ろして!!」
恥ずかしさのあまり
大声で叫ぶ
「おい!」
慌てて紀田が手で私の口を
塞いだが……
時既に遅し
「おい、誰かいるのか?」
遠くの方から
ライトを持った
先生がこちらに
近づいてくる………
や、やばい!!
「よし、あそこに隠れるぞ」
近くにある扉を
指差して
紀田は結局私を
だっこしたまま
部屋の中へと入ったーーー
ーーーーーーーーー
息を潜めて
じっと待つ
「おっかしいなぁ……」
私と紀田が隠れている
部屋の前で立ち止まると
不思議そうにつぶやく
バックンバックンと
心臓の音がうるさい
くらい鳴り響く
「確かに聞こえたんだけどな………おろしてって………まさか幽霊!?つまりこれは三枚に卸すぞって意味!?」
先生は非現実的な言葉を
残して逃げるように
別の部屋へと去っていった。

