豪華な夕食に目を輝かせる私




「お前、よだれ垂れてんぞ」




何故か目の前にいる紀田が
私の顔を見るなり
無表情で言う




「え!?うそ!?」




慌てて口元を袖口で拭う




「なに、信じてんの?」




「なっ!!」





こ、こいつ
騙しやがったな!!




紀田は私が羽麻くんと
付き合ってる宣言をしてから
こんな感じに私を貶してくる





いや………前から
貶されてはいたが
より一層酷くなったような。




「猿は嘘と真実も見抜けないのか………残念な頭だな」





「猿じゃないっつーの!!」





「あー、うるさ。」




無表情で耳を塞ぐ紀田




ほんっとムカツク!!
なんなの!?




「だいたい何であんたは私の目の前にいんのよ?」





「は?クラスの席順に座ってるからに決まってんだろ………バカかお前?」




「はっ!!」




そうだった!!
そりゃ目の前に
紀田がいるわけだわ………



「ゆあ、大丈夫?」




うわぁ………
なんか鈴にまで
めっちゃ心配されてる……




そんな鈴の視線は
私の頭に………





鈴にまで頭を心配
されるようになるなんて





なんかもう
部屋に帰っていいですか?





「はーい、それではみなさん召し上がって下さいな」





「「「いただきまーす」」」





そんな私の思いとは裏腹に
食事会が始まった。





ーーーーーーーー




部屋にて。




「あー、美味しかった!」



「ねーっ」




「ねえ………恋話しようよ」





私と鈴の間に
桐谷さんが入ってくる



「恋話?」




「そうそう」




桐谷さんが
怪しげに口角を
上げて笑う




なんか………嫌な予感




私は冷や汗とともに
ゴクリと唾を飲み込んだ。