「要さん………」
「仲良さそうね、そこの二人。付き合ってるの?なら、邪魔しちゃダメじゃない裕也………」
そうやって紀田の腕に
絡み付く
なぜ、紀田を闇へ突き落とす
ことが目的なのに
そんなに紀田にベタベタ
するんだろう?
全然わからない。
要さんは私を
利用したいの?
「要……黙れ」
紀田が要さんを
睨み付ける
昨日は庇ったのに
今日は睨み付けるなんて
紀田も意味わかんない
「だってそうでしょ?カップルじゃなかったら、そんなことしないものね………」
私の肩を抱き寄せている
羽麻くんを見て
ニコリと微笑む
「要……こいつらは別に付き合ってなんか……」
「付き合ってるよ」
紀田の否定に対して
羽麻くんが肯定する
「は?」
今度は羽麻くんを
睨み付ける紀田
「やっぱりねー」
要さんは面白そうに
クスクスと笑う
「俺と内倉は付き合ってるよ。さっきも言ったろ?」
しかし、さっき言ってた時とは
明らかに違う表情で
真剣に紀田を見据える
「なあ、嘘だよな?内倉………」
何よ………
そんな顔して
私のこと好きじゃないなら
そんな顔しないで
惑わせないで
これ以上苦しめないで
どうせ紀田は要さんが
好きなくせに………
要さんは違うみたいだけど
そんなこと関係ない
私は…………私は
「私、羽麻くんと付き合ってるよ」
もう、紀田を忘れたいんだ。
「う、内倉!?」
私の言葉に羽麻くんが
目を丸くして驚く
紀田は怒りと驚きを
交えたような顔で
私に問いかける
「お前………それ本気で言ってんのか?」
「本気だったら悪い?紀田には関係ないじゃん……」
「ある……」
「ないよ………全然ない。紀田は私に一度も好きって言ってくれたことなかったけど………羽麻くんは違う。
羽麻くんはちゃんと、私を好きだと言ってくれた。こんな私と付き合いたいって言ってくれた……」
そうでしょ?紀田………

