仕方なく拳を下ろして
前に向き直ると
「はい、席替え終わったし……あとは適当に文化祭の準備してくれ……」
尼川先生はそれだけ言って
去って行った……
「よーし、やるかっ!!」
クラスメート2の合図で
みんなが一斉に
動きだす………
「俺らも行くぞ……」
そう言って紀田が私の頭を
ポンポンと叩くから
「あぁ、うん!」
不覚にもドキッと
してしまった。
なんか………
私、紀田と普通に話せてる……
話せてるよね?
ーーーーーーーー
「紀田くぅ~ん!これ、あそこに着けて!」
「紀田くんっ、こっちも!!」
「あー、どいつもこいつもうっせぇな………」
とか言いつつ
やってあげてる紀田は
本当に優しい奴だと思う
「おい、猿。突っ立ってないで早く手伝えよ」
ムカつくけど!
「私は小道具、取りに行く!一人でやってろバーカ!」
私はベーっと舌を出して
教室を飛び出した。
ーーーーーーーーー
「んー、これと…これも必要かな。よし、戻るか!」
両手に小道具を持ち
再び教室へ戻るべく
歩き出すーーーーーー
「ねぇ、あの子でしょー?紀田くん振ったって子」
「は!?まじ!?全然、可愛くないじゃん!!」
ふと廊下をすれ違ってゆく
女子生徒たちの会話が
耳に入ってきたーーー
「付き合えただけでも奇跡なのに、振るとかありえないよね」
「本当、まじウザい。」
出たよ……
醜い嫉妬心。
紀田の中身を見ようともしない
あんたらなんかには言われたくない
私は無視して歩き続けたーーー

