となりの紀田くん



「ちょうどいい所に、梓もいたか。お前ら今日の放課後、集合な」



無表情のまま
偉そうに言う




本当、何様だよ!?




「ごめん……私ピアノのレッスンがあって………」




「………じゃあ、とりあえず梓……お前だけは絶対に来い」




「え、あ……うん。よくわかんないけど行くよ」




「言いたいことはそれだけだ。」




そう言うなり再び
私の手を引いて歩き出す




「ちょ、ちょっと紀田!一体、何するつもり!?」




私には紀田が何か
企んでるような気がして
ならなかった





しかし彼は何も言わず




ニヤリと怪しい笑みを
浮かべるだけだった。





ーーーーーー放課後




鈴がピアノのレッスンで
帰って行ったあと
梓くんが我が3組に
やってきた




「あれ、竹中くんは?」




梓くんが辺りを
キョロキョロ見回しながら
聞いてくる




「あいつは必要ない。」




「あ、そう。」




梓くんも紀田の
迫力に負けたのか
萎縮して押し黙ってしまう




暫くの沈黙




破ったのは紀田だ。




「おい、梓………お前さぁ、本当に榎本の事が好きなのか?」




「え!?いきなり何?」





「本当だよ、紀田!私、ちゃんと言ったじゃん!」






幸いクラスには
私たち3人以外
誰も居らず




私たちの会話だけが
響き渡る




「ゆあ……お前は黙ってろ」




黙ってろって…………




紀田の考えてることが
全然わかんない……。