それでも、先生が好きでした。






付き合いたてのラブラブな2人の様子を尋ねては

恥じらいつつも幸せそうに微笑み答える沙来に

なんだかあたしまでニヤけてしまう。


そうしてしばらく沙来との話に花を咲かせていると



『―――続いて、2年男子のレースです。―――』



そんな放送の言葉に

あたしと沙来は同時にグランドに視線を向けた。



いつの間にか始まろうとしていたレースに

あたしは慌てて拓哉を捜す。



「拓哉どこにいる?」



なかなか見つからず沙来に声をかければ



「3コースって言ってたような…


あ!いた!!」



沙来が指差した先

靴紐を結ぶためにかしゃがみ込む拓哉がいた。



「…1位、取れるの?」



思わず口から零れた言葉に



「取れるよ!!!」



そうムキになってあたしに言い返す沙来。



…うーん…微妙。



あたしがこう思ってしまうのには

もちろん意味がある。



なぜなら拓哉が走るレースのメンバーは

陸部と野球部の運動が出来ると有名な人たちばかりだから。



本当に大丈夫かな…



そう心配しながら再び拓哉を見た瞬間。





審判の生徒がピストルを掲げたのにつられ

会場が静まりかえると



「よーい…っ!」



高らかにピストル音が響き渡った。