それでも、先生が好きでした。






応援席に戻ると

競技に出る人達が準備をしていた。



「最初って、100m走だっけ?」



隣にいる沙来に声をそうかけると



「そうだよ!!」



心なしか、興奮気味の返事。



…あれ?

100mに出るのって…



「…あっ!

もしかして、走るのって拓哉?」



思い出して

沙来の顔を覗くように問えば



「そう♪

あいつ、リレーも出るんだよ〜」



何処か照れたような

でも誇らしげに教えてくれる沙来。



…そっか。

沙来は今でも

拓哉が好きなんだね。



一途な沙来に

なんだか心が温かくなった、その時。



「あ、拓哉!」



パッと明るくなった沙来の表情が見つめる先

競技の準備を整えた拓哉がいた。



沙来の声に気付いてこちらを見た拓哉は



「1位取ってくるから!!」



満面の笑みとピースを沙来に向けると

ふっと視線をあたしに移して



「えりかも応援しろよな〜!」



あの日―――

告白された日以来に


あたしに笑ってくれた。



「…っ、応援するからっ!!」



びっくりして



でも嬉しくて



あたしも拓哉に笑った。