ガチ恋

 やや相手の気迫に押されそうになりながらも俺は向かってくるリーゼント頭を相手に拳を振り上げる。お互いに一歩も引く気はサラサラ見えないでいた。
 喧嘩はひよったほうが負ける、つまりは弱気になったほうが負けるということだ。それをお互いわかっているから気をしっかりともち、全力で相手にぶつかっていく。

 それでも喧嘩は全力だ。言うなれば50メートル走をひたすら駆け回るようなものだ。つまりは体力が無尽蔵にない限りは、走り続けることはできない。お互いに肩で息をしている。
 ぜえはあぜえはあと。
「お前はとうかの何なんだよ、恋人か」
「恋人ではないけど…………幼馴染だよ」
なるほど、こいつはあの日の俺に近いものがあるのかもしれない。大切な人を奪われたと勘違いしているけれど。
「もうやめてよ、怖いよ」と言いながらわんわん泣き出した真白。