気づいたときには俺は正樹の胸ぐらに掴みかかって、それから彼女、詩織の悲痛な叫び声が公園一杯に響き渡っていた。
「もうやめて……正樹が死んじゃう」
どうして、俺の心配じゃなくて正樹を庇う。それは彼氏の俺じゃなくて、正樹のほうが好きで大事ってことなのか。少しだけ冷静になって、冷静?違うだろ詩織の言葉に心を砕かれたんだ。

 視線が正樹を初めて捉えると正樹の顔は原型がない程に晴れ上がり意識はあるのかないのか分からない。ただ金魚のように口をプカプカさしている。