父はあの日と同じように諭すように優しい声色で言った。思うところがないわけではないがこれ以上言うのは野暮というものだろう。
「わかったよ父さん。なら俺は何も言うことはないよ」
「ありがとう」
父は俺にお礼を言って再び和美さんと談笑はじめた。こんな事を言った手前、俺はこの場に居ずらなくなって席を立って、
「父さん、先に帰るわ。」そう言って帰路につくことにした。帰り際に和美さんと真白に軽く会釈した。和美さんは先程のことを気にしてないように笑顔で答えるも真白は相変わらず人見知りが発動しっぱなしなのか俺の表情を伺い目をチラチラと合わせるだけだった。