ガチ恋

 女に対してびびる自分が凄くダサいから俺は平静を装って父の隣りに腰を下ろした。
「こちら、和美さん、父さんと同じ職場の人だ」
父が目の前の女性を俺に紹介した。
 地味とまで言わないが派手さのない薄化粧の人。人が良さそうといった感じの人だと思った。
「永瀬和美です、よろしくね」和美さんは丁寧におじぎした。それから俺の視線に気づいてこの子は娘の真白と俺に紹介した。
「ほら、真白挨拶しなさい」と、娘にせっつく和美さん。真白と呼ばれた女性はぼそぼそと聞こえるか聞こえないような声で自分の名前を呟いた。