梅雨に入り、曇天模様の空が数日続いていたある日の朝、日曜日。
驚いたことに引っ越し先の家に梅雨空のような表情を浮かべて詩織が訪ねてきたのだった。ベルがなって出迎えたのは真白だった。驚きを隠せない真白はお客であるはずの人物をみて、
「どうして?」と呟いてしまうのだった。
 詩織が俺を呼ぶようにお願いをして、真白が俺の目の前にきた時の表情は顔面蒼白だった。今まで見たことのない表情を浮かべている真白に驚いて、「どうしたんだよ、顔色悪いぞ」と問いかけると真白は「きた」とだけ呟いた。
「きたって何が?」
「佐藤さん」
 ベッドに寝転がっていた俺は飛び起きて、すぐに玄関に向かうと、そこには紛れもなく詩織が佇んでいた。