正直、悪いけど全く覚えていなかった。僕は、フル回転で記憶の引き出しという引き出しを片っ端から引っ張りだし探し続けたが、清水の記憶はどこにも見当たらない。そんな僕を見て、清水は全てを察してくれた様子で、
「しょうがないよ、同じクラスになったことなんて、小学生の時も一度もなかったから」
と、少し寂しそうに言うと、教壇の方へ視線を向けた。
僕は小学校、中学校共に、活発な方であり、よく先生に注意はされていたが、特に人気者という訳ではなく、どこにでもいるような、ごくありふれた元気な子供だったとおもう。
そんな何の変哲もない、子供をなんで憶えていたんだろうか。小学校のサッカークラブでも、中学校の部活でも一緒になったこともないのに。
僕はそんなことを考えているうちに、ふわっとした眠気に襲われた。
あぁ、このまま、目を瞑ると気持ちいいんだろうなぁ…
そう思うと、眠気に逆らうことへの意志が遠くへと飛び去ってしまい、頭がぼやっとなり、視界が真っ暗になっていった。
ここはどこだろうか。
広い野原の片隅に、女の子が一人で立っている。
膝丈の半袖の白いワンピースに、つばの広い白い帽子を被った、亜麻色の長い髪をした女の子。
野原には緩やかな風が吹いている。その風を全身で感じようとしているのか、彼女は両手を広げ、少し上を向き、目を瞑っている。亜麻色の長い髪の毛が、ふわりふわりと風に揺らされていた。
彼女はとても綺麗だった。
僕はその姿にしばらく見蕩れていた。
彼女は僕に気がついたのか、瞑っていた目を開き、僕の方へ視線を向けた。
とても大きく綺麗な瞳をしている。
僕はその瞳に釘付けとなった。まるで、メデューサと目が合い、全身を石にされたかのように。
彼女は僕の方へ近付き、
「あなたは誰？」
と尋ねた。
僕はその言葉で我に返り、真田圭と名前を伝えた。
彼女は、にこりと微笑みながら、
「真田…圭くんか」
と僕の名前を呟いた。そして、さらに近付き僕の手をとると、
「よろしくね、圭くん」
優しい笑顔でそう言った。
僕は彼女に何かを言おうとした時に目が覚めた。時計を見ると、ほんの僅かの時間しか経っていなかった。
しかし、はっきりと憶えている。
彼女の笑顔、声、夢で見たその全てをはっきりと。
そして、もう一度、夢の中で出会ったその女の子にあいたいと強く思った。しかし、いくら目を瞑っても、睡魔は訪れず、眠ることができなかった。
あの大きな瞳。吸い込まれそうになる綺麗な瞳。
僕は、彼女のことばかりを考え、授業に身が入らなかった。
「よろしくね、圭くん」
でも、また夢の中で逢えるような気がした。彼女がはっきりと僕にそう言ったから。
「しょうがないよ、同じクラスになったことなんて、小学生の時も一度もなかったから」
と、少し寂しそうに言うと、教壇の方へ視線を向けた。
僕は小学校、中学校共に、活発な方であり、よく先生に注意はされていたが、特に人気者という訳ではなく、どこにでもいるような、ごくありふれた元気な子供だったとおもう。
そんな何の変哲もない、子供をなんで憶えていたんだろうか。小学校のサッカークラブでも、中学校の部活でも一緒になったこともないのに。
僕はそんなことを考えているうちに、ふわっとした眠気に襲われた。
あぁ、このまま、目を瞑ると気持ちいいんだろうなぁ…
そう思うと、眠気に逆らうことへの意志が遠くへと飛び去ってしまい、頭がぼやっとなり、視界が真っ暗になっていった。
ここはどこだろうか。
広い野原の片隅に、女の子が一人で立っている。
膝丈の半袖の白いワンピースに、つばの広い白い帽子を被った、亜麻色の長い髪をした女の子。
野原には緩やかな風が吹いている。その風を全身で感じようとしているのか、彼女は両手を広げ、少し上を向き、目を瞑っている。亜麻色の長い髪の毛が、ふわりふわりと風に揺らされていた。
彼女はとても綺麗だった。
僕はその姿にしばらく見蕩れていた。
彼女は僕に気がついたのか、瞑っていた目を開き、僕の方へ視線を向けた。
とても大きく綺麗な瞳をしている。
僕はその瞳に釘付けとなった。まるで、メデューサと目が合い、全身を石にされたかのように。
彼女は僕の方へ近付き、
「あなたは誰？」
と尋ねた。
僕はその言葉で我に返り、真田圭と名前を伝えた。
彼女は、にこりと微笑みながら、
「真田…圭くんか」
と僕の名前を呟いた。そして、さらに近付き僕の手をとると、
「よろしくね、圭くん」
優しい笑顔でそう言った。
僕は彼女に何かを言おうとした時に目が覚めた。時計を見ると、ほんの僅かの時間しか経っていなかった。
しかし、はっきりと憶えている。
彼女の笑顔、声、夢で見たその全てをはっきりと。
そして、もう一度、夢の中で出会ったその女の子にあいたいと強く思った。しかし、いくら目を瞑っても、睡魔は訪れず、眠ることができなかった。
あの大きな瞳。吸い込まれそうになる綺麗な瞳。
僕は、彼女のことばかりを考え、授業に身が入らなかった。
「よろしくね、圭くん」
でも、また夢の中で逢えるような気がした。彼女がはっきりと僕にそう言ったから。
