「それでねっ、聞いてよ!」


涙を流して必死にあたしに語るのは、親友の水谷 理香【みずたにりか】。



恋も勉強もうまくいっているはずの同い年。




「なに…?」


「ユウくんたらねぇ……っっ」


ユウくん、とは理香の彼のこと。



理香はユウくんとけんかしたらしく、あたしに飛びこんできたのだとか。







「……そりゃあ、理香がわるいでしょ。彼が目玉焼きにケチャップをかけても、どうだっていいでしょう」





目玉焼きにはケチャップかしょうゆか。


価値観の違いの相談である。



「…そっか」


理香はすっきりした顔になっていた。


涙も消えて、嵐が去った後みたい。


「あたしがわるいのよねっ。謝ってくるっっ」




スックと立ちあがると理香はユウくんのいるクラスにかけこんだ、んだと思う。




「柚菜!次はわたし!!」


手を上げたクラスメイトの後ろには長蛇の列。



みんな、あたしへの相談者である。