伸はありったけ目を見開いて、意表をつかれたようだ。 あたしから、こんなふうにキスするのは初めてだもんね。 しかも今はお父さまの前でだもんね。 お父さまがあたしたちのキスで喜んでいるのを耳の端に追いやって。 あたしは伸に言った。 「あたしからのありったけのありがとう…。好きだよ」 伸がうれしそうに顔を緩めてあたしにキスを返したこのシーンを今度こそお父さまは見逃さなかった。 -END-