本当にかっこいい。
いつものはねたような髪じゃなくて、左に流している。
背広は、スラリとした伸の長身が目立つ。
てかてかのくつ。伸も手袋。
「かわいい…」
「ありがと…」
珍しく素直な伸の言葉に『ありがとう』でしか返せなかった。
いつもなら、『そんなことない』ってあたしは言うの。
「伸こそ…かっこいい、よ?」
「ん」
まじまじと伸を見たいけど、ひとがたくさんいるもん。
そのうち、盗み見して…。
「ほれ」
伸が手を差し伸べた。
姿は本物のお金持ち、ってかんじだけど話しかたもなにも変わってない。
あたしも言葉とか、かざる必要ないよね。
伸の手に手を重ねた。

