伸はあたしの腕を持ち上げる。


あたしの体も持ち上がる。



「……俺がここまでどうやって来たかわかる?」



伸があたしの体のゴミをはらって、チョコケーキが入った袋と通帳を渡してくれた。



「え…っと、飛行機で?」


「ちげーよ。自家用ジェットで☆」



そうだ。伸は金持ちだったんだ。



「お前に会いたくて。不安になったら止まんなくなった」



言ってる伸が赤くなっていたので、あたしは笑った。




「伸、ハッピーバレンタインですっ」




2月14日。


恋人たちのバレンタイン。



綾香さんも、あたしも好きなひとと過ごす。



バレンタインという日だけで幸せになれる。




「伸、ホワイトデー楽しみにしてますからっ」




それからあたしと伸、伸の家でずっとくっついて話してた。


あたしの好きないちごミルクを飲んで。