そんなうれしいこと言ってくれたら、もう。
ぎゅっとあたしは伸先輩に抱きついた。
「…決めつけないでください……。自分だけ、ズルイ」
思い出はキレイなままのほうがいいって、そんなのはただの逃げだもん。
「悪い」
「さっきからそればっかり!あたしだって、伸先輩のコト好きだもんっ!!」
伸先輩の胸に顔をうずめて話してたから、もごもごしててちゃんと聞こえてなかったかもしれない。
でも、ちゃんと大声で言ったから。
伝わってるでしょ…?
「え?なに、もっかい」
っていう伸先輩の声がうえから降り注ぐ。
涙目で、真っ赤な顔でにらんだら伸先輩は笑っていた。
「はっ?なんなんですか」
こんなに恥ずかしい思いして告白したのに。
告白に聞こえなかったかもしれないけど。

