伸先輩にあたしの恋を協力してもらったのが始まりで、あたしの恋愛テクニックをばかにしたり。
はげましてもらったり、体育祭でいっしょに走って、勉強教えてもらって、暗い道をふたりで歩いて。
ストーカーから助けてもらって、パーティに参加したり、反発して、伸先輩のお父さんに会って。
大きな手で包まれてはげましてくれた。
たまに意地悪されたりしたけど、ときどきのきゅーんってする笑顔とか、毎回ドキドキされてばっかりだった。
いつも助けてくれて、となりにいるのがあたり前になってた。
これからは、あたしはひとり…?
「伸先輩っ!」
「柚菜……」
自転車は投げ捨てるように停めて、こんなに朝なのにあふれるひとごみから伸先輩を見つけた。
「ばかっ!!!!」
あたしは肩で息をしながら、伸先輩に言葉をぶつけた。
こんな言葉をもらえるとは思ってもなかった伸先輩が目を見開く。

