伸先輩はあと一時間でいなくなっちゃうんだ…。 ♪~ 今の空気に合わない、テンションの高い音楽が鳴った。 梓先輩の着信音。 もう一回鼻をかんで、それから電話に出た。 「もしもし…」 あたしはがらがらの声だった。 泣いてたからかな。 『柚菜ちゃん!伸行っちゃうよ!!追いかけなくていいの?』 追いかけるって…きのう伸先輩から一方的に言われちゃったんだよ? なのに? 『最後のチャンスかもしれないよ?』 伸先輩とはもう、しばらくは会えない。 本当に、最後……。