「先に帰らせた。お前、さびしがってると思ったけど」


伸先輩はなおとくんをちらと見た。



「んなこともないみたいだな。おまえそいつと帰るんだろ?」


「え…」


「伸先輩、でしたっけ?」


なおとくんが立ち上がる。


伸先輩の前に立った。



「…そだけど?」


「柚菜先輩、元気ないと思います。それは、伸先輩のせいじゃないですか?」



「ちょっと!なおとくんなに言ってるの?!」



どして、伸先輩にそんなこと言っちゃうの?


伸先輩に心配かけるだけじゃない…。



「そんな柚菜先輩、ほっとくことはできません。伸先輩が原因なら、近づけたくない。俺は、柚菜先輩を愛してますから」



「………」






愛してる、て……。




「俺は伸先輩なんかに負けません」


「えっ」


伸先輩はあたしの手を引いて歩き出す。











「俺…柚菜先輩のこと好きです。弟としてじゃなくて、ちゃんと男として俺を見てください」


なおとくんの告白。

部屋を出る前に聞こえてしまった。



もちろん、伸先輩にも。