「わぁ。らぶらぶだね」
いつのまにとなりに並んだ梓先輩がつぶやいた。
ズキン
……伸先輩があんな美人と付き合ってるって、見せつけるからこんなにショックなのよ。
あんなふうに見せつけられたから。
そう。自分に言い聞かせた。
元カノからはなれて、あたしのとなりに来た伸先輩がささやいた。
「ここの神社、あいつの実家なんだ。んで、あいつは…梓の元カノ」
「うそ!」
「は?」
あたしは伸先輩と向かい合った。
「うそ。この間、会ってたじゃないですか。伸先輩の元カノ、でしょう?!」
「この間…なんで知ってんだ?」
あっ。しまった。
あたしは両手で口を押さえた。
じりじりと伸先輩がせまってくる。
「ぐっ偶然です!!」
伸先輩のスキマからあたしは逃げ出した。
夜は肝試しです。

