神殺しのクロノスタシス3

…言っておくが。

嘘では、ないからな?

嘘はついてない。

俺の故郷は遠くにあるし、家族は雲の上。

これは紛れもない事実である。

「…死んじゃったんだ…。すぐり君の家族…」

「せいか~い。ようやく一問当たったね」

正解したのに、ツキナは何故か喜ばない。

嬉しくなかったのか?

「…いつ?」

「ん?」

「いつ亡くなったの?」

結構ぐいぐい聞いてくるね。

別に良いけど。

「五歳くらいのときだったかな」

「そんなに早く…。家族皆ってことは…事故?」

「事故って言うよりは…人災かなぁ」

彼らの「死因」を思い出す。

うん。あれは事故ではないな。

「それからは施設育ち。普通の学校に通ってたんだけど、縁あってシルナ学院長の目に留まって、転校したんだ」

これも、真ん中以外は本当のこと。

「そっかぁ…。家族いないんだ、すぐり君…」

「…何でツキナがそんな顔するの?」

「何ですぐり君は、平気な顔してられるの?」

え?それは…。

…何でだろう?

「親がいないって、家族がいないって、そんなに変なこと?」

「変じゃないけど…。寂しいね」

「俺は、寂しいと思ったことはないけどなぁ」

寂しいなら、あんなことはしなかったよ。

孤独ごときに耐えられないようなら、とっくに俺は死んでる。

いや。

今はもう、既に死んでるようなものなんだけど。

「でも、きっと大丈夫だよ」

「何が?」

何が大丈夫?

「すぐり君の家族は、きっとすぐり君のことを、天国から見守ってくれてるよ。今もきっと、すぐり君のこと見てるよ」

え、見てるの?

嫌なんだけど。

そもそもあの人達、天国には行ってないんじゃない?

地獄で、俺と同じように罰掃除でもさせられてるんじゃないかな。

「きっとそうだよ。すぐり君のこと応援してるよ。頑張れ頑張れって。だから寂しくないよ。大丈夫」

「いや…。俺、元々寂しくはないけど…」

「大丈夫だ!すぐり君は一人じゃない!私もついてるし皆もついてる!ふれーっ、ふれーっ」

謎の応援。

何の元気も出てこないが、この子は何がしたいんだろう。

「何かあったら、何でも相談してね!私、何でも相談に乗る!」

「…じゃあ、この罰掃除の期間を短くしてくれるように頼ん、」

「頑張れすぐり君~っ!頑張れ~っ!」

応援は良いから、罰掃除の方を何とかして欲しかったよ。

それは駄目ってことらしい。

世の中そんなに甘くないってね。