─────…罰掃除、二日目。
「ちゃんとやってるかー!」
「…やってるよ、失礼だな」
「宜しい!」
またしても、抜き打ちでツキナがやって来た。
昨日、あれだけ掃除したのに。
今日にはもう、花びらが散りまくって、目も当てられない。
桜って、咲いてるときは一瞬で、あとは人間に迷惑をかけるだけだよな。
人の人生みたい。
役に立つときは一瞬だけで、あとは迷惑をかけるだけ。
ろくでもない生き物だよ。
「…ねーすぐりくーん」
「どうかした?」
俺が黙々と掃除しているところ、退屈したのか、ツキナが声を掛けてきた。
暇なんだったら手伝ってよ、と言いたいところだが。
それだと罰掃除の意味がない。
「すぐり君の家族って、何処にいるの?王都?」
俺の手が、ピタリと止まった。
…家族?
「…何処だと思う?当ててみてよ」
「王都じゃないの?じゃあ…シャネオン?」
何処それ。
多分、ルーデュニア聖王国の主要都市の一つなのだろう。
俺はルーデュニア生まれじゃないから、ルーデュニアの地理は分からない。
「ぶっぶー。不正解」
「むむっ…。じゃあ、反対の…エクトル?」
「ぶっぶー。ざ~んねん」
「えぇ~」
まさかジャマ王国、とは思わないだろうな。
ジャマ王国の人間が、ルーデュニアで、しかもイーニシュフェルト魔導学院に入学してるなんて、まず有り得ない話だし。
…いや。
『八千代』という前例がある以上、もう有り得ない話ではないのかもしれないな。
「当てられないなら、教えられないなぁ」
「むむ~…。何処なのよ~…。ヒントは?」
ヒントかぁ。
「遠いところだね。遠いところ。多分ツキナが思ってるよりずっと遠いところだよ」
「え~?そんなに遠いところから来たの?」
「いかにも」
長い旅路を経て来ました。
何なら国境も越えてきました。
「じゃあ、家族になかなか会えなくて寂しいね。手紙でやり取りしてるの?」
「残念ながら、してないんだよな~」
「えっ。何で?」
何で?って。
そこできょとんと首を傾げられるってことは、ツキナは幸せな人生を送ってきたってことなんだろう。
…ちょっと、羨ましいねぇ。
「俺の家族、何処にいると思う?」
「実家にいるんじゃないの?遠いところにある実家」
「ざんね~ん。ツキナは不正解ばっかだね」
落第生だ。
学院長室で、『八千代』と放課後学習会する?
「…?何処にいるの?」
「俺の故郷より、もっとずっと遠いところ」
「んん~?…ヒントは?」
俺は、答える代わりに指を差した。
真上を。
「…」
ツキナは、しばし考えて。
ようやく、その意味を察したようだった。
「ちゃんとやってるかー!」
「…やってるよ、失礼だな」
「宜しい!」
またしても、抜き打ちでツキナがやって来た。
昨日、あれだけ掃除したのに。
今日にはもう、花びらが散りまくって、目も当てられない。
桜って、咲いてるときは一瞬で、あとは人間に迷惑をかけるだけだよな。
人の人生みたい。
役に立つときは一瞬だけで、あとは迷惑をかけるだけ。
ろくでもない生き物だよ。
「…ねーすぐりくーん」
「どうかした?」
俺が黙々と掃除しているところ、退屈したのか、ツキナが声を掛けてきた。
暇なんだったら手伝ってよ、と言いたいところだが。
それだと罰掃除の意味がない。
「すぐり君の家族って、何処にいるの?王都?」
俺の手が、ピタリと止まった。
…家族?
「…何処だと思う?当ててみてよ」
「王都じゃないの?じゃあ…シャネオン?」
何処それ。
多分、ルーデュニア聖王国の主要都市の一つなのだろう。
俺はルーデュニア生まれじゃないから、ルーデュニアの地理は分からない。
「ぶっぶー。不正解」
「むむっ…。じゃあ、反対の…エクトル?」
「ぶっぶー。ざ~んねん」
「えぇ~」
まさかジャマ王国、とは思わないだろうな。
ジャマ王国の人間が、ルーデュニアで、しかもイーニシュフェルト魔導学院に入学してるなんて、まず有り得ない話だし。
…いや。
『八千代』という前例がある以上、もう有り得ない話ではないのかもしれないな。
「当てられないなら、教えられないなぁ」
「むむ~…。何処なのよ~…。ヒントは?」
ヒントかぁ。
「遠いところだね。遠いところ。多分ツキナが思ってるよりずっと遠いところだよ」
「え~?そんなに遠いところから来たの?」
「いかにも」
長い旅路を経て来ました。
何なら国境も越えてきました。
「じゃあ、家族になかなか会えなくて寂しいね。手紙でやり取りしてるの?」
「残念ながら、してないんだよな~」
「えっ。何で?」
何で?って。
そこできょとんと首を傾げられるってことは、ツキナは幸せな人生を送ってきたってことなんだろう。
…ちょっと、羨ましいねぇ。
「俺の家族、何処にいると思う?」
「実家にいるんじゃないの?遠いところにある実家」
「ざんね~ん。ツキナは不正解ばっかだね」
落第生だ。
学院長室で、『八千代』と放課後学習会する?
「…?何処にいるの?」
「俺の故郷より、もっとずっと遠いところ」
「んん~?…ヒントは?」
俺は、答える代わりに指を差した。
真上を。
「…」
ツキナは、しばし考えて。
ようやく、その意味を察したようだった。


