神殺しのクロノスタシス3

「ほら、これだけあるよ」

ベリクリーデは、ずらりと並ぶ「猿でも分かる」シリーズの本を見せてきた。

あの本、あんなにあるのかよ。

「猿でも分かる!ツンデレキャラになる方法」

「猿でも分かる!本格ボルダリング」

「猿でも分かる!幼児の扱い方」

等々。

三冊目の本だけ、俺にくれ。

あんなにシリーズあるのかよ。

「お前…まとめ買いしてたのか…」

「うん。店員さんのオススメコーナーに置いてあった」

それ、店員さんのオススメコーナーじゃなくて。

やっぱり、「猿でも分かる」シリーズコーナーだったんじゃね?

もうそうとしか思えない。

あるいは、店員さんが「猿でも分かる」シリーズ出版社の、回し者である可能性も浮上。

「ジュリスが、本を読めば賢くなるって言ってた」

そして俺のせいかよ。

もう良い。分かった。

「…その本、俺が没収する」

「えっ」

「えっじゃねぇ。10冊買って、そのうちの3冊を読んだんだろ?」

「うん」

だとすると、俺はあと7回、ベリクリーデに振り回され。

同じ書類を、8回書き直さなければならない訳だ。

冗談じゃねえ。

「全部没収だ」

「え〜…。読む本なくなっちゃうよ」

読書欲があるのは良いことだ。

しかし、お前にこの「猿でも分かる」シリーズは危険過ぎる。

「本が読みたかったら、後で絵本買ってきてやるから、それで我慢しろ」

「え、ジュリスが選んでくれるの?うん、分かった」

納得するのかよ。

とにかく、今後ベリクリーデに与える本は、全部俺が吟味してから決める。

でないと、危うく神が復活するところだった。