神殺しのクロノスタシス3

まぁ、あれだ。

流行ってるもんな。今時、女子の一人キャンプ。

本を読んで、ベリクリーデもやってみたくなったのかもしれん。

そこまでは、まぁ理解してやろう。

俺としては、いくらキャンプ場と言えど。

女性が一人、野外で一夜を明かすなんて大丈夫なのだろうか、と不安になるが。

そこは、ちゃんと治安の良い場所でやってるから、大丈夫なんだろう。

しかしこのアホは、キャンプ場ですらない場所で、キャンプを展開しようとしてるからな。

前代未聞だろ。魔導隊舎の裏庭で一人キャンプって。

前代未聞過ぎて、規則で禁止されているのかどうかすら分からない。

そもそも、そんな事態が起きることを想定しないと思う。

誰も思わねぇよ。こんな場所でテント張ってキャンプしようなんて。

とにかく、話をまとめると。

「つまりお前は、その本に感化されて、キャンプを始めようと思い立って、キャンプ用品を買い集めたんだな?」

「うん」

ベリクリーデの背後をよく見ると。

黒いハーフテントだけではなく。

ランタンや寝袋、火起こしキット、折りたたみ式チェア、飯盒などのキャンプ用品が。

果ては、ロープやナイフなど、サバイバルでも始めるのかというようなグッズまで、揃っていた。

準備万端かよ。

しかもまた、屠殺用の巨大フックと包丁まで用意してあるし。

お前、あれ好きなのかよ。

そうか、野良犬焼くって言ってたもんな。

あれで捌くつもりだったんだな。危ないところだった。

「あのな…。別に、キャンプをするなとは言わないが…」

「?」

ベリクリーデの、趣味嗜好に口を出す気はないが。

「せめて、キャンプ場でやれよ」

「…キャンプ場?」

あ、駄目だ全然分かってない。

何なら、地球の何処でもキャンプ場だと思ってやがるな。

何処で寝ようと、自分の自由だ、と?

無人島とかジャングルなら、そりゃ確かに、何処でキャンプを始めようが、お前の自由だろうが。

ここ、魔導部隊女性隊舎の裏庭だから。

こんなところで、無許可のキャンプ始めんな。

「書いてなかったか?その本に。キャンプをするときは、ちゃんと決められた場所で行いましょうって」

猿でも分かるくらいなんだから、それくらい書いてあるだろう。

「うん、書いてあった」

ほら見ろ。

お前は、その文言を無視して、

「湿地と水辺は危ないから、やめましょうって。でもここなら、湿地でも水辺でもないから大丈夫だよ」

何が大丈夫なんだよ。

何だよその本。キャンプっつーか、サバイバル術の指南本なのでは?

そういう意味じゃねぇって。

あぁ、もう良い。

お前に、一般常識を求める俺が悪い。

「で、この地面の穴」

「穴?」

「さっき俺が埋め戻した穴だよ。あれは、何の為に開けたんだ?」

「テントを建てようと思って。地面に釘を刺せ…?みたいなこと書いてあったから、穴を掘れば刺しやすくなるかと思って」

「…」

…馬鹿の極み。

馬鹿の極みだぞ、この女。