神殺しのクロノスタシス3

重い重い瞼を、頑張って開けると。

そこには、薄ぼんやりとした…しかし、見覚えのある顔があった。

…ジュリスだ。

…私、目を覚ましたつもりだったのに。

まだ、夢を見てるんだろうか。

だって、ここにジュリスがいるはずない。

ジュリスは、王都にいるはずなんだから。

だから、私はまだ夢を見てるんだ。

それとも、これが走馬灯って奴なんだろうか。

…え?じゃあ私、死んじゃう?

死んじゃうの?ここで?

それは…何て言うか…嫌だな。

悔しいな。こんなところで、一人で死ぬのは。

ところで、私の中には神様がいるはずなんだけど。

血を抜かれただけで、神様って死ぬのかな?

でも、走馬灯を見てるってことは、私はこれから死ぬんだろう。

さよなら現世。

「…ジュリス…」

「ベリクリーデ…!良かった、気がついたか」

「あ、のね」

「あ?」

「ありがとう、ジュリス…。走馬灯に…出てきてくれて…」

「は!?馬鹿かお前!走馬灯じゃねぇ!現実だ、現実!気をしっかり持て!」

…なんか、ジュリスが焦ってる。

走馬灯のジュリスが焦るって、何だか新鮮…。

…ん?

今、現実って言った?

「現実…なの?」

「そうだ、現実だ」

「本物…本物のジュリス…?」

「あぁ、本物だ」

「…そっくりさん…とかじゃなくて?」

「どうしてそういう発想が出てくるんだ。本物だよ!」

…本物なんだ。

「何で…どうして、ここにいるの…?」

喋る度に、口の中がズキズキ痛む。

やっぱり走馬灯じゃない。私、生きてるんだ。

生きて、本物のジュリスと喋ってるんだ。

「お前を助けに来たんだよ」

「…!」

「遅くなって、悪かった」

「…う、ぇ?でも…これ、私のにん…ぷはっ!!」

「っ、おい!大丈夫か!?」

喋ってる途中に、口の中から抜けた歯が零れ落ちた。

入れ歯落とした人みたい。

ジュリスとお話をしたいのに、口の端からタラタラと血が垂れてきて、上手く喋れない。

「くそっ…。女相手に、なんてことしやがる…!」

ジュリスは、片手に私を抱き、片手で杖を持った。

徐々に、痛みが和らいでいった。

ジュリスが、回復魔法をかけてくれているのだ。

お陰で、相変わらず怠いものの、少し身体が楽になった。