…やがて。
鬱蒼とした木立を抜けた、その先に。
明らかに人の手によって開かれた、村が現れた。
畑も田んぼも、人が住んでいるのであろう小屋もある。
「…!ここが…」
「桔梗谷…本当に…」
桔梗谷、と言うだけあって。
周囲は、野生の桔梗の花が、あちこちに咲いていた。
だが、今は花のことなんかどうでも良い。
ここに、ベリクリーデが…。
村に、一歩足を踏み入れた瞬間。
「!誰だ!?」
畑で何やら作業していた爺さんが、俺達の侵入に気づいた。
「待ってください。我々は、聖魔騎士団の…」
「皆の者!侵入者だ!侵入者が来たぞ!」
エリュティアが説明しようとするのを、聞く気など全くないようで。
爺さんは、声を張り上げて叫んだ。
すると、小屋の中から出るわ出るわ。
あんな狭い小屋の中に、一体何人住んでいるのか。
彼らは、使い古した包丁や竹槍を武器に、小屋から出てきた。
中には、農作業用の鍬や、熊手みたいなものを武器のように持っている者もいる。
子供までもが、錆びたスコップを両手で担いで、敵意の眼差しを向けてきた。
おいおい、熱烈な歓迎だな。
「俺達に戦う意志はない!数日前ここに連れてこられたであろう、仲間を探しに来た!」
無闇が、彼らに聞こえるよう大声で言った。
「彼女を返してくれれば、すぐにここを立ち去る!村人に危害を加えるつもりはない!」
「仲間…仲間だと?」
「女と言ったな…?」
敵意剥き出しの村人達は、無闇の言葉を反芻し。
そして。
「…!こいつら!我らの生き神様を奪いに来たな!?」
…やはり。
ベリクリーデは、この土地の生き神様とやらに選ばれたのだ。
ふざけんな。
この土地に、ベリクリーデを縛り付けさせる訳にはいかない。
「皆!生き神様を守れ!武器を取って戦うのだ!」
「そうだ!不浄な奴らに、我らの生き神様を渡してなるものか!」
村人達は、それぞれの武器を手に、勇ましくわらわらと迫ってきた。
…こいつら、今何と言った?
「…ふざけんじゃねぇっ!!」
俺は、飛び掛かってくる村人達を、風魔法で吹き飛ばした。
面白いように宙を舞った村人達は、呆気なく地面に墜落していた。
「ベリクリーデは、お前らのもんじゃねぇ!!」
何が、我らの生き神様、だ。
勝手に拉致して、勝手に神様に仕立てあげただけだろうが!
「…ジュリスさん。気持ちは分かりますが、少し抑え気味に」
「え、あ…悪い」
クュルナに小声で諌められ、ちょっと冷静になった。
そうだった。相手は、魔法の使えない一般人なんだった。
しかも奴らの武器は、精々キッチンナイフと農具程度。
「ベリクリーデさんは、この村の中にいます。ここは僕達が引き受けます。ジュリスさん、あなたが探してください」
エリュティアが、杖を握り締めて言った。
無闇も、その背後にゆらりと現れた月読も。
クュルナも、俺を促すように頷いた。
…気を遣わせて、申し訳ない。
「…悪い。ここは頼む」
俺は、わらわらと寄ってくる村人達を飛び越えるように、宙を飛んだ。
待ってろよ、ベリクリーデ。
今、行くから。
鬱蒼とした木立を抜けた、その先に。
明らかに人の手によって開かれた、村が現れた。
畑も田んぼも、人が住んでいるのであろう小屋もある。
「…!ここが…」
「桔梗谷…本当に…」
桔梗谷、と言うだけあって。
周囲は、野生の桔梗の花が、あちこちに咲いていた。
だが、今は花のことなんかどうでも良い。
ここに、ベリクリーデが…。
村に、一歩足を踏み入れた瞬間。
「!誰だ!?」
畑で何やら作業していた爺さんが、俺達の侵入に気づいた。
「待ってください。我々は、聖魔騎士団の…」
「皆の者!侵入者だ!侵入者が来たぞ!」
エリュティアが説明しようとするのを、聞く気など全くないようで。
爺さんは、声を張り上げて叫んだ。
すると、小屋の中から出るわ出るわ。
あんな狭い小屋の中に、一体何人住んでいるのか。
彼らは、使い古した包丁や竹槍を武器に、小屋から出てきた。
中には、農作業用の鍬や、熊手みたいなものを武器のように持っている者もいる。
子供までもが、錆びたスコップを両手で担いで、敵意の眼差しを向けてきた。
おいおい、熱烈な歓迎だな。
「俺達に戦う意志はない!数日前ここに連れてこられたであろう、仲間を探しに来た!」
無闇が、彼らに聞こえるよう大声で言った。
「彼女を返してくれれば、すぐにここを立ち去る!村人に危害を加えるつもりはない!」
「仲間…仲間だと?」
「女と言ったな…?」
敵意剥き出しの村人達は、無闇の言葉を反芻し。
そして。
「…!こいつら!我らの生き神様を奪いに来たな!?」
…やはり。
ベリクリーデは、この土地の生き神様とやらに選ばれたのだ。
ふざけんな。
この土地に、ベリクリーデを縛り付けさせる訳にはいかない。
「皆!生き神様を守れ!武器を取って戦うのだ!」
「そうだ!不浄な奴らに、我らの生き神様を渡してなるものか!」
村人達は、それぞれの武器を手に、勇ましくわらわらと迫ってきた。
…こいつら、今何と言った?
「…ふざけんじゃねぇっ!!」
俺は、飛び掛かってくる村人達を、風魔法で吹き飛ばした。
面白いように宙を舞った村人達は、呆気なく地面に墜落していた。
「ベリクリーデは、お前らのもんじゃねぇ!!」
何が、我らの生き神様、だ。
勝手に拉致して、勝手に神様に仕立てあげただけだろうが!
「…ジュリスさん。気持ちは分かりますが、少し抑え気味に」
「え、あ…悪い」
クュルナに小声で諌められ、ちょっと冷静になった。
そうだった。相手は、魔法の使えない一般人なんだった。
しかも奴らの武器は、精々キッチンナイフと農具程度。
「ベリクリーデさんは、この村の中にいます。ここは僕達が引き受けます。ジュリスさん、あなたが探してください」
エリュティアが、杖を握り締めて言った。
無闇も、その背後にゆらりと現れた月読も。
クュルナも、俺を促すように頷いた。
…気を遣わせて、申し訳ない。
「…悪い。ここは頼む」
俺は、わらわらと寄ってくる村人達を飛び越えるように、宙を飛んだ。
待ってろよ、ベリクリーデ。
今、行くから。


