神殺しのクロノスタシス3

「その…生き神様…制度のようなものは、今も生きてるんでしょうか」

「さぁ…。すっかり廃れちまったからねぇ。生き神様なんて、もう大昔の話さ…。今じゃ、若いもんはだーれも信じちゃいない。桔梗谷が存在しているのかどうかも分からんよ」

…。

「ここいらじゃ、誰かが行方不明になったって、警察やら、聖魔騎士団様が探してくれるだろ?生き神様に選ばれたなんて言っても、だーれも信じやしないよ」

…まぁ、そうだな。

でも今、正に。

その聖魔騎士団様である俺が、桔梗谷の生き神様伝説とやらの真偽を、確かめに来ているのだ。

「その…生き神様に選ばれる女の子に、条件はあるんですか?さっき、少し仰ってましたが…。不思議な力を使う、とか」

「そうだよ。生き神様はね、あたしら普通の人間とは違うんだ」

「…と、言うと?」

「まず、ほとんど歳を取らないんだ。いつまでも若いままで、普通の人なら死ぬような怪我をしても、放っとけば治っちまう」

…。

「それに、不思議な力を使う。日照りのときに雨を降らせたり、病んでいる人を治したりね。とにかく不思議な力を使うのさ。でも、見た目は普通の人間と変わらない。だから生き神様」

…それって。

…俺もなんだけど。

「で、生き神様は女じゃないといけない。そんな伝承があるんだとさ。若くて綺麗な女の子。それが生き神様…なんだけど」

「…けど?」

「いくら生き神様ったってねぇ…。本当に神様ならともかく、もし人間なら、死ぬときは死ぬし、老いもするだろう?」

そうだな。

まぁ、俺やシルナ・エインリーは、老いてはいないが。

「生き神様が死んだら、どうなるのかねぇ。最近じゃあ、女の子がいなくなっても、大抵家出で始末されるだろう?」

「そう…ですね」

「こんなこと言っても、年寄りの戯言だって、子供らや孫達には笑われるけど…。もしかして、現代の人が忘れてるだけで、いなくなった女の子のうち何人かは、今も残ってる桔梗谷の人々に連れ去られて、生き神様にされてるんじゃないかって…あたしは、そう思うんだよ」

…成程。

ありがとう、お婆さん。

あなたのお陰で、かなりの情報が掴めた。