神殺しのクロノスタシス3

…さて。

「年寄り…年寄りか」

おっと。俺も実年齢は結構年寄りだから、人のことは言えないが。 

先程から、何人もの人間に聞き込みを続けているが。

駅に集まるのは、先程のような若い男女や、制服姿の学生が多い。

今のところ、俺の聞き込みに応じてくれた人々の話を総合すると。

まず、桔梗谷のことを知っている人はいない。

そもそも、桔梗谷の存在を信じている人もいない。

じゃあ、桔梗谷のことを知っている人を知らないか、と聞いてみると。

そんな人知らない、と言われるか。

今時そんなの信じてるのは、精々年寄りくらいだ、とのこと。

年寄り、という言い方は、あまり良くないな。

ご年配の方、と言おう。

つまり。

ここで駅に留まって、情報を持っていそうにない若者に、聞き込みを続けるより。

ご年配の方の家を訪ねて、取材を頼む方が効率的ってことだ。

勿論、訪ねた家に、ご年配の方が在宅かどうかは分からないが。

ここで、情報量の少ない若者にひたすらインタビューを続けるよりは、余程効率的だ。

俺は、腕時計で時間を確認する。

クュルナ達との合流時間までは、まだ余裕がある。

「…よし」

少し足を伸ばして、トラーチェの市街地に入ろう。

そして、良い感じにご年配の方のいそうな家を訪ね、そこで聞き込みすることにしよう。

それで何か、情報が得られれば良いのだが…。