神殺しのクロノスタシス3

…水の中で倒れて、それで終わりじゃなかった。

「神聖なる時間」が終わるまで、気を失っては、滝の水の冷たさで目を覚まし、立たされ。

また気を失っては、目を覚まして立たされ。

夜が明けるまで、何度それを繰り返しただろう。

ようやく滝行が終わって、もといた小屋までの帰り道は、正直覚えていない。

疲れ果てて、何も考えられなかった。

気がつくと、濡れた服を着替えさせられ(また同じ、あの重い服だ)。

散々血を抜かれた、あの寝台の上に寝かされていた。

そして、その脇には、宝石つきの鋭利なナイフと、たらいが二つ。

私はゾッとした。

まさか、またあれをやるの?

そして、その恐ろしい予感を裏付けるように。

私が目を覚ますのを、待っていたと言わんばかりに。

谷の人々が、小屋の中に入ってきた。

今度は、昨日よりもっと人数が多い。

そして、昨日人力車を運んでくれた、あの若いお兄さん二人もいた。

彼らの手には、金属製のペンチが握られていた。

…あれは何?

それに。

「お前達、先程運んできたものを持ってきなさい」

お婆さんが、若い男性に指示した。

彼が持ってきたのは、私の足元に置いてある、瀉血用のたらいより、更に大きくて重そうなたらい。

その中には、なみなみと水が注がれていた。

「さぁ、生き神様。清浄なるお身体を取り戻して頂きまする」

「何…?私に、何をするの…」

「何も心配は要りませぬ。我々に任せて頂ければ、生き神様は身体に蔓延った穢れを祓い、神聖な魂を宿す、清く正しい生き神様にお戻りになるのですよ」

「…」

…それは何?

私、そんなものにはなりたくない。

神様になりたいなんて、望んだことは一度もない。

それなのに。

「お前達、始めなさい」

「は。生き神様、どうか早く、我らの生き神様に戻ってくださいませ…」

2リットルは軽く入るであろう、陶器の花瓶のような入れ物が。

私の目の前に迫った。