鋭い痛みと共に、やがて、ワイングラス…聖杯が、私の赤い血で満たされた。
覚悟はしてたけど、やっぱり痛いものは痛い。
グラスがいっぱいになると、付き従っていたお姉さんが、血を垂らす私の手首を、赤い布で巻いてくれた。
ありがとう。
…それで?
「…何すれば良いんだっけ?」
「水晶を。水晶玉を覗いてくだされ」
水晶玉?
ワイングラスの隣りにある、透明な玉。
これが水晶玉…。
「これを見ると、どうなるの?」
「生き神様の神聖なる血を捧げたことにより、神の力を得た生き神様は、その水晶玉を通して、この世の真理を見ることが出来るでしょう」
「ふーん…。なんか、中二病みたいだね」
「ち、ちゅうに…?何ですかそれは」
中二病知らないの?
「と、とにかく水晶玉を。水晶玉を覗きください」
「分かった」
じー、と水晶玉を見つめる。
…。
…。
…透明だなー…。
私の顔が映って、落書きされたみたいな変な顔に、思わず笑いそうになる。
「…どうですか、生き神様。我らの未来が見え…」
「控えよ!生き神様の神聖なる儀式を、邪魔するでない!」
「も、申し訳ございません」
お姉さんが、興奮した調子で私に尋ねると。
お婆さんがそれを制し、叱声を飛ばした。
…。
静かにしてくれて、ありがとうなんだけど。
透明な水晶玉に映るのは、間抜けな落書きが施された私の顔だけ。
…これを見て、私の顔以外の何かが分かるんだろうか。
とりあえず、自分の変な顔と五分くらい見つめ合っていると。
お婆さんが、恐る恐ると言った風に声をかけてきた。
「…生き神様。何が見えましたでしょうか」
「…私の顔」
「は」
はって何?
「私の顔以外、何も見えないよ」
「え、い、いや…。谷の…そう、桔梗谷に住む我々の未来は?今年の冬は、無事に越せますでしょうか。病に罹っている村長の三男は?いつ治るのですか?」
「…さぁ…」
そんなこと、私に聞かれても。
私、占い師じゃないんだから。
この人達が期待していることなんて、なーんにも見えない。
こんな水晶玉、ただの、丸い透明な玉でしかない。
覚悟はしてたけど、やっぱり痛いものは痛い。
グラスがいっぱいになると、付き従っていたお姉さんが、血を垂らす私の手首を、赤い布で巻いてくれた。
ありがとう。
…それで?
「…何すれば良いんだっけ?」
「水晶を。水晶玉を覗いてくだされ」
水晶玉?
ワイングラスの隣りにある、透明な玉。
これが水晶玉…。
「これを見ると、どうなるの?」
「生き神様の神聖なる血を捧げたことにより、神の力を得た生き神様は、その水晶玉を通して、この世の真理を見ることが出来るでしょう」
「ふーん…。なんか、中二病みたいだね」
「ち、ちゅうに…?何ですかそれは」
中二病知らないの?
「と、とにかく水晶玉を。水晶玉を覗きください」
「分かった」
じー、と水晶玉を見つめる。
…。
…。
…透明だなー…。
私の顔が映って、落書きされたみたいな変な顔に、思わず笑いそうになる。
「…どうですか、生き神様。我らの未来が見え…」
「控えよ!生き神様の神聖なる儀式を、邪魔するでない!」
「も、申し訳ございません」
お姉さんが、興奮した調子で私に尋ねると。
お婆さんがそれを制し、叱声を飛ばした。
…。
静かにしてくれて、ありがとうなんだけど。
透明な水晶玉に映るのは、間抜けな落書きが施された私の顔だけ。
…これを見て、私の顔以外の何かが分かるんだろうか。
とりあえず、自分の変な顔と五分くらい見つめ合っていると。
お婆さんが、恐る恐ると言った風に声をかけてきた。
「…生き神様。何が見えましたでしょうか」
「…私の顔」
「は」
はって何?
「私の顔以外、何も見えないよ」
「え、い、いや…。谷の…そう、桔梗谷に住む我々の未来は?今年の冬は、無事に越せますでしょうか。病に罹っている村長の三男は?いつ治るのですか?」
「…さぁ…」
そんなこと、私に聞かれても。
私、占い師じゃないんだから。
この人達が期待していることなんて、なーんにも見えない。
こんな水晶玉、ただの、丸い透明な玉でしかない。


