神殺しのクロノスタシス3

「とてもお美しゅうございます、生き神様…!」

「なんという神々しいお姿…!」

…。

…美しい?これ。

マネキンに、たくさんの色のカーテン巻き付けたみたい。

そして重い。

物凄く重い。いきなり、体重がおデブになったみたい。

これじゃあ、満足に歩くことも出来ないよ。

それと、暑い。

せめて、この布、半分くらい減らしてくれれば良いのに。

「…ねぇ」

私は、涙を流さんばかりに感激している女の人に、声をかけた。

「何でございましょう?生き神様」

「この服、凄く重いから…脱ぎたい」

「おぉ!なんということを。それはいけません」

怒られた。

「生き神様は、神の化身。いついかなるときでも、威厳のあるお姿でいらっしゃらなければ」

「…」

…威厳?

これが?

私には、ゴテゴテに飾り付けたマネキンにしか見えないのだが。

それと。

「暑い…。お水飲みたい…」

長旅だったのと、着替えが長いのと、暑いのとで。

喉がカラカラだ。

しかし。

「いけません、生き神様。生き神様の口になさるものは、霊験あらたかな祭壇に供え、充分に浄化されたものでなくては。生き神様が穢れを口にする訳にはいかないのですから」

「…」

…何だか、よく分からないけど。

お水も飲んじゃいけないらしい。

「それより、このお美しい姿を、村人に拝謁させてくださいませ。皆、生き神様のご帰還を、一日千秋の思いで待っていたのですよ」

「…そうなの…?」

「はい!さぁ、ほら」

村人の女性が、私の前に長く赤い布を敷いた。

「生き神様は、この上を歩いてくださいませ。それ以外の場所は歩いてはなりません」

「…?どうして?」

別に裸足って訳じゃないのに。

「地面は穢れているからですよ」

「…」

地面…。

…私には、普通の地面にしか見えないけど。

これ、何か穢れてるの?

でもこの人達は、普通にその「穢れた」場所を歩いてるじゃないか。

なのに、何で私だけ駄目なんだろう?

よく分からないまま、私は、歩きにくくて重たい服を引きずるようにして。

赤い布の上を、時間をかけてそろそろと歩き、小屋の外に出た。

するとそこには、大勢の村人達が待ち構えていた。