神殺しのクロノスタシス3

こうして。

アナベルへの刑罰はなくなり。

アナベル自身も、ひとまず家族のもとに帰るようにと指示され、退室した。

だが、桔梗谷の連中が、まだ彼女の家族を人質に取っているのなら。

自白してしまったアナベルへの報復として、彼女の家族に手を出すかもしれない。

故に、彼女と彼女の家族を守る為、護衛役としてクュルナが名乗り出た。

アナベルは、クュルナに付き添われ、会議室を後にした。

…で。

一件落着…とは行かないが。

「…アトラス」

「何だ?」

俺は、彼に言うべきことがある。

「お前、今、罪を受けるなら自分が、って言ったが」

「あぁ、言ったな」

「あれ、撤回しろ。罪を受けるのは俺だ。お前にも家族がいるだろう」

今、目の前に。

シュニィと、そして家に帰れば、二人の幼子が。

もしアトラスが捕まり、投獄されるようなことになれば。

彼の愛する家族が、どんな目に遭うか。

その点、俺には人質にされるような家族はいない。

ならば、罪を受けるのは俺だ。

アトラスの家族には、アトラスが必要だ。

しかし。

「一度言ったことを、変えるつもりはない」

「お前にも、守るべきものがあるんじゃないのか」

それは、お前の愛しい妻子じゃないのか。

「それはお前も同じだろう」

「…何?」

俺も同じ、だと?

「ベリクリーデがそうだ。違うのか?お前の相棒なんだろう。ベリクリーデが帰ってきたとき、お前が迎えてやらなくてどうする。誰が彼女を迎えに行くんだ?」

「…それは…」

「守るべきものがあるのは、誰しも同じだ。それでも誰かが罰せられる必要があるなら、それは俺が引き受ける」

…意志は固い、ということか。

なら、今更俺が何を言おうと、考えを変えてはくれなさそうだな。

更に。

「フユリ様に報告するときは、私も同行するよ。君達のこれまでの功績は、私も知ってる。私が出来る限り、フユリ様に取りなすから」

シルナ・エインリーが、そう申し出た。

フユリ様に発言権のある、数少ない人物の一人だ。

「…それに…問題は、まだ解決した訳じゃない」

羽久・グラスフィアが言った。

…そうだったな。

ベリクリーデが、まだ戻ってきていない。

彼女がここに、俺のもとに帰ってくるまでは。

まだ何も、解決しちゃいないのだ。