…見ていられない。
いくらアトラスがアナベルを責め立てようと、それは、その罪は、アナベルが背負うべきものではない。
アトラスの制止を受けようが、俺も一緒に裁かれようが、関係ない。
やはり、割って入ろうとしたが。
そのとき。
「お前は…家族を人質に取られたんだな?」
アトラスは、そう聞いた。
「は…い…」
「王家への忠誠より、家族を優先したんだな?」
「…!」
…それは。
「…はい…」
アナベルは、死を覚悟したように頷いた。
…無理もない。
無理もない。まだ歳も若く、俺にとっては少女にも等しいアナベルが。
家族の命と、国家への忠誠心を、天秤にかけられるはずがない。
だから、アナベルは…。
「…そうか」
アトラスは、アナベルの肩に手を置いた。
アナベルは、ビクリと身体を震わせたが。
次にアトラスが放った言葉に、俺達一同、驚きを隠せなかった。
「お前は正しいことをした」
「…え?」
俺達のみならず。
アナベルもまた、涙に濡れた顔で、きょとんとしていた。
「誰だって同じことをする。家族以上に大事なものなんてない。俺だって、家族を人質に取られたら、お前と同じことをする。それで家族を守れるのなら、何だってする」
…アトラス。
「だから俺は、お前を許す。お前は国家への忠誠心より、家族の命を優先した。正しい判断だ。俺だって同じことをする。だから俺は、お前を責められない」
…そうだったな。
お前は、そういう奴だったよ。
国家への忠誠心など、知ったことか。
自分が命を懸けて愛した妻が、血を分けた愛しい子らが、命の危機に脅かされているのに。
国家への忠誠心を優先して、彼らの命を見捨ててしまったら。
アトラスはきっと、生涯決して、自分を許せないだろうから。
「フユリ様には、俺から報告する。絶対にお前と、お前の家族には危害を加えさせないようにする。咎を受けるなら、それは独断でお前を許すと決めた俺だ」
「あ…アトラス団長…」
「だからアナベル、お前は安心して、家族のもとに帰れ。お前が命を懸けて守った家族のもとに」
「…!」
…実にアトラスらしい判断だ。
アナベルは、感極まったように、再び涙を溢れさせていた。
そんなアナベルを、シュニィが背中をさすって宥めていた。
「フユリ様への報告は後だ。まずは、その桔梗谷とやらに行き、ベリクリーデを探す。それが先決だ」
やれやれ。
女王陛下への報告を後回し、とは。
やることが大胆な団長様だよ。
…そして、なんとも威厳のある団長だ。
だから、誰もが彼についていくのだ。
人間は機械ではない。
人間には感情がある。抗いがたい感情が。
人であることを捨ててまで、国家を守る必要はない。
少なくともこの団長は、人であることを捨てたりはしない。
国を守る為だけの、機械にはならない。
それを今、ここで証明してみせたのだ。
シルナ・エインリーも、安心したような顔をしていた。
…ったく、あんたの教え子は、つくづく優秀だよ。
いくらアトラスがアナベルを責め立てようと、それは、その罪は、アナベルが背負うべきものではない。
アトラスの制止を受けようが、俺も一緒に裁かれようが、関係ない。
やはり、割って入ろうとしたが。
そのとき。
「お前は…家族を人質に取られたんだな?」
アトラスは、そう聞いた。
「は…い…」
「王家への忠誠より、家族を優先したんだな?」
「…!」
…それは。
「…はい…」
アナベルは、死を覚悟したように頷いた。
…無理もない。
無理もない。まだ歳も若く、俺にとっては少女にも等しいアナベルが。
家族の命と、国家への忠誠心を、天秤にかけられるはずがない。
だから、アナベルは…。
「…そうか」
アトラスは、アナベルの肩に手を置いた。
アナベルは、ビクリと身体を震わせたが。
次にアトラスが放った言葉に、俺達一同、驚きを隠せなかった。
「お前は正しいことをした」
「…え?」
俺達のみならず。
アナベルもまた、涙に濡れた顔で、きょとんとしていた。
「誰だって同じことをする。家族以上に大事なものなんてない。俺だって、家族を人質に取られたら、お前と同じことをする。それで家族を守れるのなら、何だってする」
…アトラス。
「だから俺は、お前を許す。お前は国家への忠誠心より、家族の命を優先した。正しい判断だ。俺だって同じことをする。だから俺は、お前を責められない」
…そうだったな。
お前は、そういう奴だったよ。
国家への忠誠心など、知ったことか。
自分が命を懸けて愛した妻が、血を分けた愛しい子らが、命の危機に脅かされているのに。
国家への忠誠心を優先して、彼らの命を見捨ててしまったら。
アトラスはきっと、生涯決して、自分を許せないだろうから。
「フユリ様には、俺から報告する。絶対にお前と、お前の家族には危害を加えさせないようにする。咎を受けるなら、それは独断でお前を許すと決めた俺だ」
「あ…アトラス団長…」
「だからアナベル、お前は安心して、家族のもとに帰れ。お前が命を懸けて守った家族のもとに」
「…!」
…実にアトラスらしい判断だ。
アナベルは、感極まったように、再び涙を溢れさせていた。
そんなアナベルを、シュニィが背中をさすって宥めていた。
「フユリ様への報告は後だ。まずは、その桔梗谷とやらに行き、ベリクリーデを探す。それが先決だ」
やれやれ。
女王陛下への報告を後回し、とは。
やることが大胆な団長様だよ。
…そして、なんとも威厳のある団長だ。
だから、誰もが彼についていくのだ。
人間は機械ではない。
人間には感情がある。抗いがたい感情が。
人であることを捨ててまで、国家を守る必要はない。
少なくともこの団長は、人であることを捨てたりはしない。
国を守る為だけの、機械にはならない。
それを今、ここで証明してみせたのだ。
シルナ・エインリーも、安心したような顔をしていた。
…ったく、あんたの教え子は、つくづく優秀だよ。


