泣きじゃくるアナベルの肩に手を置くと、アナベルはビクリと身体を震わせた。
だが、心配することはない。
「お前は何も悪くない。お前の家族もだ。指令書やら印鑑やら、部屋に放り出していった俺の管理が悪かったんだ」
もっとちゃんと、施錠して入れておくべきだった。
それは俺の怠慢のせいであり、断じてアナベルのせいではない。
「お前には何の責任もない。悪いのは俺だ。だから…シュニィ」
俺は、俺やアナベルを統括する、魔導部隊隊長シュニィに向かって言った。
「裁くなら、俺を裁け。アナベルの名前は出さないでくれ」
「…ジュリスさん…」
国家反逆罪の汚名も、喜んで着よう。
俺には、アナベルと違って、守るべき家族はいない。
アナベルの家族にとって、アナベルはなくてはならない存在だが。
俺の代わりなら、いくらでもいる。
だから、裁かれるのは俺だ。
すると。
「そんな…ジュリスさんが背負うことでは、」
「そうだ。指令書を偽造し、王家の名前を勝手に利用し、魔導部隊大隊長を騙した当事者は、お前ではなくアナベル・ハードウィックだ」
「…!アトラスさん…」
それまで、ずっと黙っていたアトラスが。
聖魔騎士団団長が、シュニィの言葉を遮るようにして、アナベルの前に出た。
アトラスの険しい顔つきに、アナベルは顔を引き攣らせて震えていた。
その貫禄と威圧感は、俺でさえ恐怖を感じるほどだった。
「アトラスさん、アナベルさんは何も…」
「そうだよ、彼女は脅されていただけで…」
アトラスの妻であるシュニィと。
かつて教師として彼に師事していたシルナ。
アトラスに意見出来る、数少ない二人の人間が、アトラスを宥めようとしたが。
「二人共、少し黙っていてくれ。聖魔騎士団団長は俺だ」
「…!」
そんな二人の意見にも、アトラスは全く耳を貸さなかった。
シルナはともかく、愛妻のシュニィの意見さえ聞かないとは。
シュニィは、あまりに驚いて絶句していた。
確かに国家反逆罪は重大な犯罪だ。アナベルは裁かれるべきだろう。
しかし、彼女は何も、悪意を持ってこんなことをした訳ではない。
家族を人質に取られ、身動きが取れない状況だった。
言うことを聞かなければ、抵抗する術を持たない家族を殺すと言われたのだ。
家族を守るには、桔梗谷の連中の言うことを聞くしかなかったのだ。
充分に、情状酌量の余地はある。
それなのに、情け容赦なく彼女を裁くとは。
それはあまりにも、酷というもの…。
「…アナベル」
アトラスが名前を呼ぶと、アナベルは顔を引き攣らせたまま、がくがくと震えていた。
「お前は…誓ったはずだな?聖魔騎士団に入団する際に、王家と聖魔騎士団に誠実に、忠誠を尽くすと宣誓したな?」
アトラスが言っているのは、聖魔騎士団に入団する際の入団儀式のことだ。
聖魔騎士団に入団するときは、必ずこの宣誓をさせられる。
王家に、聖魔騎士団に忠実な騎士であると宣誓する。
だが現状、アナベルはその誓いを破ったことになる。
フユリ様の名前を騙って、勝手に指令書を作成したのだから、そこは議論の余地もない。
「それなのに、お前はその誓いを破った。家族の為に。そうだな?」
「は…はい…」
アナベルの顔は、気の毒なほどに真っ青になっていた。
だが、心配することはない。
「お前は何も悪くない。お前の家族もだ。指令書やら印鑑やら、部屋に放り出していった俺の管理が悪かったんだ」
もっとちゃんと、施錠して入れておくべきだった。
それは俺の怠慢のせいであり、断じてアナベルのせいではない。
「お前には何の責任もない。悪いのは俺だ。だから…シュニィ」
俺は、俺やアナベルを統括する、魔導部隊隊長シュニィに向かって言った。
「裁くなら、俺を裁け。アナベルの名前は出さないでくれ」
「…ジュリスさん…」
国家反逆罪の汚名も、喜んで着よう。
俺には、アナベルと違って、守るべき家族はいない。
アナベルの家族にとって、アナベルはなくてはならない存在だが。
俺の代わりなら、いくらでもいる。
だから、裁かれるのは俺だ。
すると。
「そんな…ジュリスさんが背負うことでは、」
「そうだ。指令書を偽造し、王家の名前を勝手に利用し、魔導部隊大隊長を騙した当事者は、お前ではなくアナベル・ハードウィックだ」
「…!アトラスさん…」
それまで、ずっと黙っていたアトラスが。
聖魔騎士団団長が、シュニィの言葉を遮るようにして、アナベルの前に出た。
アトラスの険しい顔つきに、アナベルは顔を引き攣らせて震えていた。
その貫禄と威圧感は、俺でさえ恐怖を感じるほどだった。
「アトラスさん、アナベルさんは何も…」
「そうだよ、彼女は脅されていただけで…」
アトラスの妻であるシュニィと。
かつて教師として彼に師事していたシルナ。
アトラスに意見出来る、数少ない二人の人間が、アトラスを宥めようとしたが。
「二人共、少し黙っていてくれ。聖魔騎士団団長は俺だ」
「…!」
そんな二人の意見にも、アトラスは全く耳を貸さなかった。
シルナはともかく、愛妻のシュニィの意見さえ聞かないとは。
シュニィは、あまりに驚いて絶句していた。
確かに国家反逆罪は重大な犯罪だ。アナベルは裁かれるべきだろう。
しかし、彼女は何も、悪意を持ってこんなことをした訳ではない。
家族を人質に取られ、身動きが取れない状況だった。
言うことを聞かなければ、抵抗する術を持たない家族を殺すと言われたのだ。
家族を守るには、桔梗谷の連中の言うことを聞くしかなかったのだ。
充分に、情状酌量の余地はある。
それなのに、情け容赦なく彼女を裁くとは。
それはあまりにも、酷というもの…。
「…アナベル」
アトラスが名前を呼ぶと、アナベルは顔を引き攣らせたまま、がくがくと震えていた。
「お前は…誓ったはずだな?聖魔騎士団に入団する際に、王家と聖魔騎士団に誠実に、忠誠を尽くすと宣誓したな?」
アトラスが言っているのは、聖魔騎士団に入団する際の入団儀式のことだ。
聖魔騎士団に入団するときは、必ずこの宣誓をさせられる。
王家に、聖魔騎士団に忠実な騎士であると宣誓する。
だが現状、アナベルはその誓いを破ったことになる。
フユリ様の名前を騙って、勝手に指令書を作成したのだから、そこは議論の余地もない。
「それなのに、お前はその誓いを破った。家族の為に。そうだな?」
「は…はい…」
アナベルの顔は、気の毒なほどに真っ青になっていた。


