東方都市…トラーチェだって?
何だって、ベリクリーデがそんなところに?
「列車で向かったそうです。駅で、彼女の『痕跡』も見つけました」
「列車で…って、いや、そもそも何であいつが、トラーチェなんかに行ってるんだよ?」
意味が分からない。
あそこは確か…よく言えば長閑、悪く言えばド田舎の…何もない場所だろう?
何でそんなところに?
しかも、一人で?
「…まさか家出、って訳じゃないよな?」
いや、家出なら、別に良いんだけど。
誰かに攫われるよりは、ずっと良い。
「いえ、それが…少々、ややこしいことになっていて…」
…ややこしいこと?
ベリクリーデがいなくなった時点で、充分ややこしいのだが。
それ以上に面倒なことがあるのか?
「…事の発端は、彼女が偽の指令書を偽造し、ベリクリーデさんに渡したことです」
エリュティアは、アナベルを手で差してそう言った。
…何?
アナベルが?
「彼女は昨日、ジュリスさんとベリクリーデさんが、任務に出て不在の隙に、ジュリスさんの部屋に侵入し、指令書の用紙と、ジュリスさんの印鑑を盗み出し、ベリクリーデさん宛ての偽の指令書を作ったそうです」
「…!」
昨日…ってことは。
俺とベリクリーデが、線路の土砂崩れを始末しに行っていた間に、ってことだよな?
その間に、アナベルが俺の部屋に侵入し。
白紙の指令書と、俺の名前が刻まれた印鑑を盗み出して、勝手に使用し。
ベリクリーデ宛ての、偽物の指令書を作成した。
何でそんなことを…と、思っていたら。
「更に、その指令書に、フユリ様の…王家の印も偽造して捺し、女王陛下からの特命ということにして、ベリクリーデさんに渡したそうです」
更に、大きな爆弾が投下された気分だった。
何だって?フユリ様の印を偽造?
「勿論、現物ではないので…あくまで模倣したものだそうですが…。ベリクリーデさんは、それに気づかず受け取ったらしくて」
そりゃそうだろう。
元々ベリクリーデは、人を疑うということを知らない人間なんだから。
ちょっと下手くそな偽造でも、気づかず本物だと思い込むに決まってる。
だが、今はそんなことはどうでも良い。
「アナベル…。お前、自分が何をしたか分かってるのか?」
「…」
俺が問い詰めると、アナベルは引き攣ったような顔で、目を見開いた。
俺の部屋に忍び込んで、指令書やら印鑑やらを持ち出した件については…まぁ、俺の管理が悪かったということで、庇ってもやれる。
だが。
フユリ様の印を偽造したのは駄目だ。俺の権限じゃ、庇いようがない。
つまり、フユリ様のフリをして、勝手にフユリ様の名前を利用した、ってことだからな。
これは重大な犯罪行為だ。
いくら俺達が庇っても、王家や国民は許さない。
国家反逆罪として、彼女は裁かれることになる。
事の重大さを、アナベルは理解しているのか?
「何で、そんな…馬鹿なことを…」
「ジュリスさん、彼女を責めないであげてください」
…エリュティア。
それ、さっきも言ったな。
更に、俺に責め立てられて、怯えて泣きじゃくるアナベル。
「…何があった?」
「脅されていたんです。彼女…アナベルさんは、家族を人質に取られ、脅されて、こんなことをしたんです」
…。
…あまりに唐突に、事態が急変して。
さすがの俺も、頭がついていかないぞ。
何だって、ベリクリーデがそんなところに?
「列車で向かったそうです。駅で、彼女の『痕跡』も見つけました」
「列車で…って、いや、そもそも何であいつが、トラーチェなんかに行ってるんだよ?」
意味が分からない。
あそこは確か…よく言えば長閑、悪く言えばド田舎の…何もない場所だろう?
何でそんなところに?
しかも、一人で?
「…まさか家出、って訳じゃないよな?」
いや、家出なら、別に良いんだけど。
誰かに攫われるよりは、ずっと良い。
「いえ、それが…少々、ややこしいことになっていて…」
…ややこしいこと?
ベリクリーデがいなくなった時点で、充分ややこしいのだが。
それ以上に面倒なことがあるのか?
「…事の発端は、彼女が偽の指令書を偽造し、ベリクリーデさんに渡したことです」
エリュティアは、アナベルを手で差してそう言った。
…何?
アナベルが?
「彼女は昨日、ジュリスさんとベリクリーデさんが、任務に出て不在の隙に、ジュリスさんの部屋に侵入し、指令書の用紙と、ジュリスさんの印鑑を盗み出し、ベリクリーデさん宛ての偽の指令書を作ったそうです」
「…!」
昨日…ってことは。
俺とベリクリーデが、線路の土砂崩れを始末しに行っていた間に、ってことだよな?
その間に、アナベルが俺の部屋に侵入し。
白紙の指令書と、俺の名前が刻まれた印鑑を盗み出して、勝手に使用し。
ベリクリーデ宛ての、偽物の指令書を作成した。
何でそんなことを…と、思っていたら。
「更に、その指令書に、フユリ様の…王家の印も偽造して捺し、女王陛下からの特命ということにして、ベリクリーデさんに渡したそうです」
更に、大きな爆弾が投下された気分だった。
何だって?フユリ様の印を偽造?
「勿論、現物ではないので…あくまで模倣したものだそうですが…。ベリクリーデさんは、それに気づかず受け取ったらしくて」
そりゃそうだろう。
元々ベリクリーデは、人を疑うということを知らない人間なんだから。
ちょっと下手くそな偽造でも、気づかず本物だと思い込むに決まってる。
だが、今はそんなことはどうでも良い。
「アナベル…。お前、自分が何をしたか分かってるのか?」
「…」
俺が問い詰めると、アナベルは引き攣ったような顔で、目を見開いた。
俺の部屋に忍び込んで、指令書やら印鑑やらを持ち出した件については…まぁ、俺の管理が悪かったということで、庇ってもやれる。
だが。
フユリ様の印を偽造したのは駄目だ。俺の権限じゃ、庇いようがない。
つまり、フユリ様のフリをして、勝手にフユリ様の名前を利用した、ってことだからな。
これは重大な犯罪行為だ。
いくら俺達が庇っても、王家や国民は許さない。
国家反逆罪として、彼女は裁かれることになる。
事の重大さを、アナベルは理解しているのか?
「何で、そんな…馬鹿なことを…」
「ジュリスさん、彼女を責めないであげてください」
…エリュティア。
それ、さっきも言ったな。
更に、俺に責め立てられて、怯えて泣きじゃくるアナベル。
「…何があった?」
「脅されていたんです。彼女…アナベルさんは、家族を人質に取られ、脅されて、こんなことをしたんです」
…。
…あまりに唐突に、事態が急変して。
さすがの俺も、頭がついていかないぞ。


