神殺しのクロノスタシス3

そもそも、ベリクリーデの中に何がいるのか、何が封印されているのか。

彼女の本当の「価値」を知っている者は、ルーデュニア聖王国広しと言えども、ほんの一握りの人間のみ。

この部屋にいるメンバーと、あとはフユリ・スイレン女王陛下くらいか。

そして…ヴァルシーナ・クルス。

シルナ・エインリーと同じく、イーニシュフェルトの里の出身だったか。

あいつが『カタストロフィ』なんて組織を立ち上げ、禁忌の黒魔導書をばらまき…。

今回に至っては、『アメノミコト』とも手を組み、色々やらかしてくれた。

だから、やはり考えられる犯人は。

ヴァルシーナって女と、あとは…あいつに協力してる、『アメノミコト』か。

「でも…私は、今回の件でヴァルシーナちゃんと『アメノミコト』が関わってるとは思えない」

と、シルナ。

何だと?

「そうだな、先日の一件で、ヴァルシーナはシルナが完膚なきまでに心叩き割ってるし…。昨日の今日で、こんな大それた計画を立てて、実行出来るもんか?」

「少なくとも、今のヴァルシーナちゃんには無理だと、私は思ってる」

「…」

羽久もシルナも、ほぼ確信を持って言っている。

…この二人が、特にシルナ・エインリーが…ここまで確信を持って発言するのであれば。

恐らく、その推測は正しい。

ならば…。

「『アメノミコト』という組織が、手を回した可能性は?」

無闇が尋ねた。

「学院には、『アメノミコト』を裏切った暗殺者がいるんだろう。彼らに対する見せしめの為、ベリクリーデを誘拐した、とは考えられないか?」

「その可能性は、勿論ある。ないとは言わないよ」

…そうだな。

今の俺達には、敵が多い。

ましてや『アメノミコト』は、裏社会の非合法組織だ。

どんな残酷な手段でも、平気で実行してくる。

もしベリクリーデが、『アメノミコト』に攫われたのだとしたら…。

…しかし。

「だけど、私はそれもないと思ってる」

…何?