神殺しのクロノスタシス3

あの後俺は、振り返りもせずに部屋に帰って。

イライラモードのまま、報告書を書き上げ。

書いてすぐ、シュニィに持っていったところ。

俺がイライラしていたのを察したのか、「お疲れですか?」と聞かれた。

その一言で、俺は自分が、柄にもなく腹を立たせていることに気付いた。

そして、そんな自分が恥ずかしくなった。

良い歳して、子供に当たり散らす、大人気のない大人。

隠しているつもりだったが、シュニィの観察眼には感服した。

それはともかく。

…悪いことを言ってしまった。

怒りに任せて、思ってもないことを言い過ぎてしまった。

謝ろうと思ったが、報告書を仕上げて、シュニィのもとに持っていった時点で、時刻は既に午後八時を回っていた。

ルシェリート夫妻の家から隊舎に戻り、ベリクリーデのいる、女性用隊舎に行こうと思ったら。

およそ、男が女性隊舎に入るには、非常に礼儀知らずな時刻になっていることだろう。

そう思った俺は、謝るのは明日会ってからにしよう、と思った。

丁度、シュニィの家から去り際に、「明日はお休み差し上げますから、二人でお出かけでもしたらどうですか?」と言われたから。

ベリクリーデを連れて、お詫びがてら、何か美味しいものでも奢ってやろうと思った。

何が良いだろう。

女なら、ケーキやパフェやアイスクリーム…なんて、甘い物が好きだろうと連想しがちだが。

俺の経験上、ああいうのは、性別や年齢には寄らないものだ。

シルナ・エインリーを見てみろ。

あれが良い例だろう?

それに、ベリクリーデは世間知らずで、食べ物の名前を知らないことが多いからな。

本人に「何が食べたい?」と聞くより。

こちらから、「何々食べに行こう」と誘う方が良い。

勿論、本人に希望があれば、そちらを優先するけどな。

何が良いだろう。

そういや先日、イーニシュフェルト魔導学院の連中が、シルナ・エインリーの財布で、高給焼肉店で豪遊した、とか言ってたっけ。

それも悪くないかもしれない。

あいつ、焼肉食ったことあんのかな。

まぁ、それはともかく。

まずは、昨日のことを謝ってからだ。

そう思って、俺は早めに起きて、さっさと外出する支度を済ませた。

どうせベリクリーデのことだから、休日となれば、俺が起こすまでベッドでゴロゴロしてるだろうし。

こっちから起こしに行くか。

俺は自分の隊舎を出て、女性用隊舎に向かう為、中庭を歩いていた。

そこに。

「おっ」

「ん?」

俺と同じく、聖魔騎士団魔導部隊大隊長の一人。

キュレム・エフェメラルと遭遇した。