その後。
もう傷も塞がったし、魔力も回復してきたので。
僕は医務室を出て、今夜は学生寮の自分の部屋で寝ることにした。
この学生寮の中に、既に『八千歳』がいるんだよな。
挨拶しに行った方が良いんだろうか?
…。
…。
…。
…喧嘩になったら、同室の人に迷惑だから、やめとこう。
「ただいま」
仕方なく、真っ直ぐ自分の部屋に戻ると。
「あ、令月!お帰り」
クラスメイトの、ユイト・ランドルフ君が迎えてくれた。
そういえば君、回り回って、僕の命の恩人なんだよね。
彼が不死身先生に、僕の様子が変だったって伝えてくれなければ。
今頃僕、『八千歳』と一緒に、森の奥で自然に還ってるところだったよ。
しかし、ユイト君には、何も話してないらしい。
「良かった。やっと戻ってこれたんだな。大丈夫?体調」
「うん、良くなったよ」
『八千歳』と戦ったとか、僕が黙って学院を抜け出したとか。
ユイト君には、何も教えてない。
教えない方が良いだろう。どう考えても。
元暗殺者と、現役暗殺者が決闘してましたなんて、口が割けても言えない。
故に。
僕の様子がおかしいと思ったのは、単にユイト君の勘違いで。
僕は大人しく学生寮で寝ていたけど、具合が悪化して、医務室に担ぎ込まれたことになっている。
ユイト君には悪いけど、そういうことにしておかなくてはならないのだ。
ごめんね。
「心配したよ。あの後、医務室に担ぎ込まれたんだって?」
「うん。目眩がして、世界が回り始めたから、とうとうハルマゲドンが始まったのかと思った」
「…勘弁してくれよ、全く…」
危うく世界が終わるところだったね。
僕は、危うく人生が終わるところだったよ。
「もう元気になったから。大丈夫」
「良かったよ。今度からは、具合悪くなったら素直に医務室に行ってくれよ?頼むから」
「分かった」
ユイト・ランドルフ君の顔を見て思った。
怒られたし、レポートの罰則も受けることになったけど。
でも、やっぱり一人で行って良かった。
僕が誰かに他言していたら、彼は今頃、この世にはいなかったかもしれないから。
もう傷も塞がったし、魔力も回復してきたので。
僕は医務室を出て、今夜は学生寮の自分の部屋で寝ることにした。
この学生寮の中に、既に『八千歳』がいるんだよな。
挨拶しに行った方が良いんだろうか?
…。
…。
…。
…喧嘩になったら、同室の人に迷惑だから、やめとこう。
「ただいま」
仕方なく、真っ直ぐ自分の部屋に戻ると。
「あ、令月!お帰り」
クラスメイトの、ユイト・ランドルフ君が迎えてくれた。
そういえば君、回り回って、僕の命の恩人なんだよね。
彼が不死身先生に、僕の様子が変だったって伝えてくれなければ。
今頃僕、『八千歳』と一緒に、森の奥で自然に還ってるところだったよ。
しかし、ユイト君には、何も話してないらしい。
「良かった。やっと戻ってこれたんだな。大丈夫?体調」
「うん、良くなったよ」
『八千歳』と戦ったとか、僕が黙って学院を抜け出したとか。
ユイト君には、何も教えてない。
教えない方が良いだろう。どう考えても。
元暗殺者と、現役暗殺者が決闘してましたなんて、口が割けても言えない。
故に。
僕の様子がおかしいと思ったのは、単にユイト君の勘違いで。
僕は大人しく学生寮で寝ていたけど、具合が悪化して、医務室に担ぎ込まれたことになっている。
ユイト君には悪いけど、そういうことにしておかなくてはならないのだ。
ごめんね。
「心配したよ。あの後、医務室に担ぎ込まれたんだって?」
「うん。目眩がして、世界が回り始めたから、とうとうハルマゲドンが始まったのかと思った」
「…勘弁してくれよ、全く…」
危うく世界が終わるところだったね。
僕は、危うく人生が終わるところだったよ。
「もう元気になったから。大丈夫」
「良かったよ。今度からは、具合悪くなったら素直に医務室に行ってくれよ?頼むから」
「分かった」
ユイト・ランドルフ君の顔を見て思った。
怒られたし、レポートの罰則も受けることになったけど。
でも、やっぱり一人で行って良かった。
僕が誰かに他言していたら、彼は今頃、この世にはいなかったかもしれないから。


