神殺しのクロノスタシス3

「要らねぇよ」

「!」

何だ。

その、「ガーン!」みたいな顔は。

受け取ってもらえると思ったのか。このチョコレートと言う名の消し炭を。

「何で?」

「何でじゃねぇよ。お前、自分の身になって考えてみろ」

自分が仮にもし、男だったとして。

「こんな消し炭もらって、お前は嬉しいか。喜んで食べようとするか?」

「…うん」

食べるのかよ。

そりゃ済みませんでしたね。

でも俺は食べない。命が惜しいからな。

生まれてこの方、母親以外の女性からチョコレートをもらったことがない非モテ男でも、これは食わねぇよ。

炭食ってるのと同じだもん。

「そっか…。ジュリス、チョコ嫌いなんだ…」

決してそういう訳ではない。

俺はただ、炭を食うのが嫌なだけだ。

「別にチョコ嫌いな訳じゃなくて…」

「じゃあ私のことが嫌い?」

「…何でそうなんの?」

「だって、チョコは好きなのに、私の作ったチョコは食べたくないって言うから」

いや、だからチョコが嫌いとか、お前が嫌いとか、そういうことじゃないんだよ。

俺はただ、炭を食べたくないだけで。

「ジュリスに嫌われちゃった…」

おい、しょぼんとすんなよ。

俺が泣かせたみたいじゃないか。泣いてはないけど。

「分かった。分かったベリクリーデ」

「何…?」

「一緒に作ろう。な?もう一回、今度は一緒に作れば、これよりもっと良いものが出来るぞ」

「…」

ぱぁぁ、と明るい顔になるベリクリーデ。

ほっ。

我ながら、面倒なことを提案してしまったものだが。

目の前で女に泣かれる(泣いてはないけど)よりは、ずっとマシだ。