神殺しのクロノスタシス3

この超弩級のアホに、言いたいことは山程あるが。

まず、一番に言いたいのは。

「…ベリクリーデ」
 
「何?」

「食材に謝れ」

こんな得体の知れない消し炭に錬成される為に、生まれてきたんじゃないぞ。

この食材達は。

食べ物を無駄にするとは、なんたる冒涜。

「ごめんなさい」

宜しい。

何が悪いかよく分かってなさそうな顔だが、謝ったので許そう。

で、次。

「隊舎の中にいた、他の魔導師達に謝れ」

得体の知れない異臭騒ぎと、炎魔法で延焼したであろう調理室。

このまま隊舎が燃えるんじゃないかと、彼らは肝を冷やしたことだろう。

実際、このままじゃヤバいと判断したからこそ、俺に助けを求めてきたんだろうし。

彼らの心配と不安を返せ。気の毒な。

「ごめんなさい」

宜しい。

やっぱり何が悪いのか分かってなさそうな顔だが、謝ったので許そう。

で、最後に。

「俺に謝れ」

敵襲か、と思って急いで駆けつけたら。

この得体の知れない消し炭を見せられ。

しかも、それを危うく食べさせられそうになった被害者である、俺に謝れ。

「ごめんなさい」

宜しい。

いや宜しくはねぇけど。

だって、全然何が悪いのか分かってなさそうな顔してんだもん。

実際何が悪いのか、分かってないんだろうな。

「お前は何がしたかったんだ?」

「ジュリスにバレンタインチョコをあげようと思ったの」

あぁ。

さっき言ってたな、そんなこと。

「何でまた、そんないきなり…」

「女の子の魔導師さん達が、喋ってたの。バレンタインチョコの予約が〜って」

…はぁ。

まだ9月なのに?

まぁ、そこは置いておこう。

9月だろうと何月だろうと、早い店なら今から予約しておかないと、手に入らないのだろう。

そんな名店があるのか?

シルナ・エインリーが好きそうだな。

「で、バレンタインっていうのが、よく分かんなかったから」

「…」

「バレンタインって何って聞いたら、好きな男の人やお世話になった人に、チョコレートをあげる日だって言うから」

「…」

「作った」

ドヤ、みたいな顔して言うな。

消し炭でドヤるな。

あのなぁ、その女の子達さぁ…。肝心な、バレンタインデーが何月何日なのかも、教えておいてやってくれよ…。

いや、だからって2月にこれ渡されても、消し炭は消し炭だが。

それに、もしかしたらその女の子達も、バレンタインは2月ですよ、って教えたのかもしれない。

ベリクリーデが覚えてないだけで。

アホだからな、基本。こいつは。

「そういうことだから、ジュリス」

「あ?」

「はい、チョコあげる」

「…」

何回見たところで。

それはチョコではなく、食材を全て炭化させた、消し炭でしかないよ。

そもそもコーヒー豆ぶち込んでる時点で、チョコの要素一つもない。